1万人削減、分社化断行…ソニー平井社長が激白、経営危機から完全復活への全真相
片山 それは、半年に一回くらいですか。
平井 いやいや、月一でやっていますよ。
片山 コミュニケーションが活発ですね。
平井 グループ全体として必要なことを、今、議論しながらしっかりと考えなきゃいけないんですよね。
たとえば、最新技術のVR(バーチャル・リアリティ)は、アンディ(アンドリュー・ハウス/ソニー・インタラクティブエンタテインメント社長)だけがやればいい話ではなく、石塚(茂樹/イメージング・プロダクツ&ソリューション事業担当)はどう考えるのか。鈴木(智行/執行役副社長R&Dプラットフォーム担当)は技術的に見てどう思うか、などと聞くことも必要です。ソニーのなかでVRについての共通認識をつくるんですね。
年に2回は、エンタテインメントのトップのマイケル・リントン、ダグ・モリス、マーティン・バンディアらを全員集めて、エレクトロニクスとエンタテインメントで一緒に、全世界を見て議論する場を設けています。VRなどは、全社で共通認識を持たなくてはいけませんからね。
この場には、以前はなかったことですが、半導体やデバイスのトップも参加して、エンタテインメントのプレゼンテーションを聞きます。カルバーシティ(ハリウッド)のスタジオに足を運んで文化に浸ってもらうこともしています。
あらゆるものを駆使
片山 ただ、前任のハワード・ストリンガー氏も「ワン・ソニー」を掲げましたが、実際のところ、うまくいきませんでしたよね。
平井 コンセプトを出すのはいいんですが、実際にどう実行するかですよね。最初は強制です。
片山 「強制」というのは?
平井 エンタテインメントのトップは、「なんで俺が厚木(厚木テクノロジーセンター)に行かなきゃいけないんだ」ってなりましたけれども、「いやいや、厚木にいくからこそ、厚木のトップもカルバーシティにいかなきゃダメだ」という話なんです。3、4年続けた今では、鈴木もスタジオの連中と飲んで盛り上がっていますよ。
ビジネス上では、それぞれどこで接点があるかわかりませんが、同じグループで同じ方向にベクトルを合わせることは大切です。誰がどこにいようと「お客様に感動をお届けして、好奇心を刺激するんだ」ということは、スタジオ、半導体、デバイスなどに関係なく、みんな一緒だということが、なんとなくわかってきてくれていると思います。
片山 ソニーは、もともと自己主張の強い人が多いですよね。事業部門も我が強い。一方で今の時代、業界や国境の壁がなくなりつつあるときに、それらをひとつにまとめるのは大変な努力が求められますね。