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椎名民生「不動産ビジネス最前線」

やっぱり激安の宿は衝撃的にヒドい!汚れ&騒音地獄、冷蔵庫に残飯、トイレは紙なし

文=椎名民生
やっぱり激安の宿は衝撃的にヒドい!汚れ&騒音地獄、冷蔵庫に残飯、トイレは紙なしの画像1「Thinkstock」より

 筆者は、日本の国内出張でもエアビーアンドビー(以下、エアビー)を使っているが、今回、1カ月のアメリカでの研修の予定が入った。そこで、全行程においてエアビー利用に挑戦してみた。

 本連載前回記事『旅行で1泊5千円で住居貸切のエアビー、驚愕のトラブル続出で危険事態!前日ドタキャンも』では、柔らかすぎるベッドで腰痛になった1週目と、宿泊前日にドタキャンをくらった2週目を紹介した。今回は、衝撃の3週目以降の様子を紹介する。

 エアビーとは一般住宅に旅行客を有料で泊める民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーのことだ。同社は6月15日、2015年の日本での事業の経済効果が5207億円になったとする推計を発表した。

 なにしろ、ホテルより広い居住空間にホテルの半額程度で泊まれるとなれば、人気が出るのも当然だ。ホテルが建たないような静かな環境で、現地の人々と同様の生活を送れるのだ。

 筆者の出張3週目は、そのエアビーの特徴が裏目に出た。3週目も日本円で1泊7000円台の物件を予約したが、エアビーの紹介文には「らせん階段のメゾネットタイプ、アットホームに過ごせます」とあり、ホスト男性の写真も掲載されている。

 紹介文のホストの写真はそれほど考慮しない。以前、日本でエアビーを利用した際に、「男性外国人」の写真をホストとして掲載してあった物件で、実は日本人がホストだったというケースがあったからだ。外国人の観光客には、外国人ホストだと思わせたほうがアプローチしやすいとの戦略だろう。筆者もてっきり外国人だと思い英語でやりとりしていたのだが、カギの受け渡しの際にホストが日本人で、写真は友人のものを使用していたと判明した。

 しかし、今後は少なくとも男性がホストの物件は避けて、女性がホストの物件に限定したいと思うようになった。なぜなら、男性がホストの物件は「アットホームに過ごせます」と記載してあっても、あくまで“男性のアットホームさ”であって大ざっぱなのだ。

衝撃のひどさ

 今回は、なかなか直前になっても先方から返事が来ない。嫌な予感が漂うなか、やっと連絡が来た。その内容は、前宿泊者のチェックアウトが遅れているので、チェックインを1時間遅らせてほしいというものだった。

 その要望を受け入れ、予定より1時間遅れてチェックインしたが、まだ清掃業者(全身タトゥー入りの夫婦)が清掃中だった。その清掃もおざなりで、清掃業者は急ぎ足で退却していった。室内に入ると消毒液の匂いが充満し、床の絨毯はほこりまみれ、テーブルも何かがこぼれたままだった。

 冷蔵庫を開けると、お徳用のペットボトルのコーラやビール、冷凍食品で満杯となっていた。プラスティックの保存容器には食べかけの食材が入っている。つまり、前宿泊者が利用した状態のまま残っているのだ。

 トイレに入ると、トイレットペーパーがない。メゾネットタイプ(複層住戸)で上階にも部屋とトイレがあるため、そちらのトイレにはあるかと思ったが、そこにもない。さすがに、ホストに確認のメッセージを送ったが、こういったときほどホストからの返事は来ない。

 以前、日本でエアビーを利用し、目的の場所には近いが、コンビニエンスストアからも遠く離れたマンションを借りたことがあった。その際に、エアコンのリモコンや時計などの電池がことごとく切れていて、ホストに問い合わせをしたものの返事はなく、遠くのコンビニまで行き、自腹で電池を購入した。ホストからは、後日「お知らせいただきありがとうございます」というメールが来ただけだった。

 そして今回も、同様に返事がない。さすがに当日のホテルを予約することも難しかったので1泊したが、翌日以降はキャンセルした。ベッドは気持ちが悪いのでソファーで寝た。1週目に、ソファーで寝るためにタオルケットを購入したのが、再び役に立った。

 教訓は、やはり男性がホストだと大ざっぱになりがちだ。ホストは女性の物件を選びたい。たとえ、写真が女性で実際には男性のホストだったとしても、女性の写真を掲げる程度の気を使っているという点を評価したい。

 実際に、比較的快適にすごせた1週目と4週目は女性ホストだった。

夜や週末はうるさい

 4週目は日本円で1泊7000円台の物件に泊まったが、こちらは快適だった。外見は古く、ハリウッドの青春映画に出てきそうな洋館のアパートで、エアコンはついていなかったので不安がよぎったが、天井扇がついていてゆったりとした時間が流れる。近くに教会があり、時計代わりの鐘が心地よく鳴った。

 問題は、配管が露出しており隣室や上下室などとつながっているために、その配管を通じて音が響きやすくなっていたことだ。携帯電話の着信音やテレビのBGMなど、響きやすい音は自分の部屋で鳴っているのかと思うほどだった。居住者が少ない時間帯はよかったが、人が増えてくると騒音が響くように聞こえるのだ。

 日本と同様に金曜日は労働から解放されるうれしさからか、普段は酒を飲まない人も飲むことが多いようで、飲食店もにぎやかだがアパートの近隣の部屋もにぎやかになった。そのため、部屋で集中して仕事をする人や早めに就寝したい人にはつらい環境だ。

 ただし、これはアパートでもホテルでも、さまざまなエアビーで同様の傾向がみられるので、夜はにぎやかになると認識して利用するしかないだろう。エアビー問題として「ゲストはうるさい」という声があるが、筆者からすると「近隣の居住者もうるさい」。エアビーは大人数で利用することが多いので、それがうるさくなる最大の要因ではないかと思う。

 そして、チェックアウト時にはカギを指定の場所に、たいていは元あった郵便受けの中に返却して終了だ。チェックアウトも午後2時くらいまでなら延長対応してくれるので、それもホテルとは別の魅力といえる。

 アメリカでは、エアビーと並ぶイノベーションビジネスといわれる、配車アプリ「Uber」も使ったが、確かに安い。タクシーで4000円かかるところに、Uber を使えば2000円台で行ける。通行コースも画面上に表示されるので、変なところに連れていかれる心配がない。しかも、カード決済で現金いらず、チップもいらないというのは日本人にとってもありがたいサービスだろう。ただし、ドライバーは全身入れ墨だったり、スラングばかりを話す人に当たることもあるが、そういった人物とお金の交渉などをしなくても目的地に連れて行ってくれるという点が面白い。

 これからの夏休み、海外でイノベーションビジネスを利用しようと考えている人に参考にしていただければ幸いだ。
(文=椎名民生)

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