実は格段においしくなっていた
くら寿司の仕入は安定しています。仕入の割合はおおむね42%で推移しています。片や、かっぱ寿司は28.8~47.2%の間で、年によって大きく上下しています。つまり、仕入が安定していません。不安定な仕入は、食材の鮮度の維持において大きな問題があるといえます。また、廃棄ロスや販売機会ロスの問題もあります。
かっぱ寿司は、新鮮でおいしい食材を提供していく必要があります。そのために、仕入に費用をかけたいところです。仕入の費用を捻出するためには、仕入の安定化と適切な値入れが欠かせません。
さらに、かっぱ寿司にはもうひとつ大きな問題があります。それは販管費率です。くら寿司の販管費率は49.3%ですが、かっぱ寿司は54.1%にもなります。食材に投資するためには、まずは無駄な販管費(人件費など)を発生させないようにする必要があります。適正な人件費コントロールや人材育成によるオペレーションの効率化が必須といえるでしょう。
かっぱ寿司は高い鮮度を維持した寿司の提供と廃棄ロスの抑制のために、注文を受けてから寿司をつくって届けるフルオーダータイプの店舗を拡大させていくとしています。そのためには、少なくない資金投資が必要となります。コロワイドの後押しにより、積極的な出店や改装を進めていくものと思われます。方向性は間違っていないでしょう。
筆者の個人的な感想になりますが、久しぶりにかっぱ寿司の寿司を食べてみたのですが、以前と比べて格段においしくなっているように感じました。ただ、世間一般のイメージは、いまだに「安かろう悪かろう」です。一度貼られたレッテルは、簡単に剥がすことはできません。
業績をV字回復させるためには、おいしくなった寿司を消費者に粘り強くアピールしていく必要があるでしょう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。