中古車情報メディア「カーセンサー」(企画・制作 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ)は5月号で「今乗ってもカッコいい 絶版車6モデル」を特集、読者からは大きな反響があったという。
今、再評価されている車は何か。また、その理由は。「価格の高低ではなく、魅力的かどうかという価値観で選ばれている」と語る、リクルート自動車総研所長兼カーセンサー編集長の西村泰宏氏に話を聞いた。
時代を超えて愛される名車とは
――まず、5月号で紹介された「今乗ってもカッコいい」絶版車6モデルについて教えてください。
西村泰宏氏(以下、西村) 6モデルは以下になります。
1.ボルボ「240エステート」
2.ローバー「ミニ」
3.トヨタ「ランドクルーザー70」
4.トヨタ「MR2(初代)」
5.メルセデス・ベンツ「W124」
6.ルノー「カングー(初代)」
発売当時に人気があったことはもちろん、今も「あの車は良いよね」と評価されているモデルを絞り込みました。また、比較的メンテナンスが容易で、5~10年と乗り続けられるモデルを選びました。
――トップ3は240エステート、ミニ、ランドクルーザー70ですね。
西村 240エステートはデザイン面で個性が際立っており、最近は若者が乗っている光景もよく目にします。そして、年配の方が「僕も乗っていました。久しぶりに見ると乗ってみたくなります」などと話したりするのです。また、荷物がたくさん載るため、アウトドア好きの間では今も愛用者が多いです。そのため、5月号では240エステートを表紙に起用しました。
BMWになってからのミニは3代目が出ていますが、常にミニらしさを持ち続けています。昔のミニに憧れる層は一定数いて、過去3年間の流通量と平均価格はほぼ横ばいです。最終生産から20年ほどたっていて、世界的な名車ということもあり、今後は台数が減っていくにつれ、価格は上昇傾向になっていくでしょう。
本格的かつタフなクロカン4駆のランドクルーザー70は世界的にはヘビーデューティーな用途が多いですが、日本は悪路が少ないこともあり、ファッション的な魅力で乗る人が多いです。生産30周年記念で2014~15年に復刻し、そのときも人気を集めました。
――4位以下はMR2、W124、カングーです。
西村 MR2はコアなファンから一目置かれている車ですが、スポーティーなモデルなので、必然的に走行距離がかさみ、修復歴が多くなります。そのため、コンディションが良い中古車は高値で取引されるようになります。
W124はベンツの中でも名作と呼ばれた一台で、熱烈なファンが多い車です。日本でベンツのブランドバリューを確立したモデルでもあります。やはり価格は上昇傾向にありますが、コンディションによっては、メンテナンスにそれなりの費用がかかるでしょう。
これまでの5モデルは特に車好きの支持が高いモデルですが、カングーはビジネス、プライベート、ファミリーと多用途に使える汎用性の高い車です。現行型もありますが、「このときの空気感がいいよね」ということで、昔のモデルを選ぶ人も多いです。
車の流行は20年周期で繰り返される?
――これらの6モデルに共通していることはなんでしょうか。
西村 流通量が減少しているので、価格的には安くなることはありません。ただし、古着と同じように、価格の高低ではなく、魅力的かどうかという価値観で選ぶ人が多いです。若い人が購入するケースも多いと思います。
――車の流行は20年周期で繰り返されるのですか?
西村 車に限らず、今は1980~90年代のファッションが人気を集めるなど、他業界でも、昔のコンテンツを再評価する流れが生まれています。いいものは、時代を超えて支持されるということでしょう。
(構成=長井雄一朗/ライター)