6月1日に大手企業の面接が解禁となった。多くの学生が内定を獲得し、街中で初々しいリクルートスーツ姿の学生を見かけることは少なくなったように感じるが、そんな就職活動中の学生の間で以前から流れるのが、「文系は理系に比べて就職活動や仕事で不利になる」という情報である。その理由としてよく挙げられるのが、「文系の学生は大学で学んだことが社会に出てまったく役に立たない」というものだ。
そこで今回は、株式会社ヒューマンテック代表の濱田秀彦氏に、就職活動や会社生活における文系出身者と理系出身者の違いについて話を聞いた。
実は同じ土俵で就活をしていない
「結論から言うと、文系学生だからといって就職で不利になったり、逆に理系学生だからといって特に有利だということはありません。というのも、企業側は採用時に文系枠と理系枠を設けているところが多く、文系学生は文系学生の中で、理系学生は理系学生の中で競いますので、文系と理系ではもともと違うレースをしているのです。そのため、文系学生と理系学生が直接内定をかけて勝負することは少ないのです」
では、なぜ「文系は理系よりも不利」という声が上がるのだろうか。
「おそらく感情論的な部分が大きいのではないかと思います。理系学生の就職方法は、企業から担当者が大学にやってきて、教授に学生を推薦してもらい、推薦を受けた学生が試験を受けるという流れです。そのためすぐに内定が決まる場合が多いです。一方で文系学生は自分で受ける会社を選び、エントリーシートを書いて何度も面接をしてようやく内定を得ることができます。そうなると、見た目としては理系学生のほうが採用で優遇されていると感じるのでしょう」
企業から担当者がわざわざやってきて短期間で合格をもらえる理系学生と、複数社受けてやっと内定を手にできる文系学生。そう考えると、理系学生を羨ましく思うのは当然かもしれない。
文系のほうが昇給しやすい?
一方、文系出身者は大学で学んだことが社会に出て役に立たず、個人のキャリアという見地から考えて、長い目で見ると損だという実態はあるのだろうか。