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「三菱自のPHV技術は進んでいる。高く評価している」(日産の開発担当役員)
日産はもともと、EVを環境対応車の本命と見ており、EVのラインナップをグローバルで拡充してきたが、PHV技術では出遅れていた。三菱自はPHV「アウトランダーPHEV」の販売を伸ばしており、EVやPHV技術を長年にわたって研究開発してきた強みを持つ。日産は三菱自を傘下に収めたことで、EVの開発を強化できるのに加え、PHVの技術を入手できる。
仮に、世界の潮流を敏感に察したトヨタが三菱自と提携していれば、トヨタは他社に劣らないEVやPHVの技術を短期間で入手できた可能性がある。日産は、三菱自の軽自動車の燃費不正の発覚によって経営不安が広がった三菱自に対して、2週間の短期間で傘下に入れることを決めた。このスピード決断の可否が、トヨタと日産の将来を決める大きな分岐点となった可能性もある。
EVでの出遅れ感
トヨタは当面の環境規制への対応や市場対策として、18年に中国で「カローラ」と「レビン」のPHVを投入する予定だが、EVでの出遅れ感は歪めない。
「究極のエコカーはFCVだ。この考えは今も変わっていない。ただ、水素社会の実現の過程においてはさまざまなエコカーがあり、ゼロエミッションの達成にはFCVとEVという選択もある」(伊地知トヨタ副社長)
次世代環境自動車の主流となる可能性のあるEV技術を短期間でキャッチアップするチャンスを逃し、グローバルでの環境車戦略で大きく躓いた感のあるトヨタ。遅ればせながらEVの開発で巻き返しを図るが、自動車業界で主導権を握り続けるため、環境戦略でトップランナーを走るという構想への道のりは険しい。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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