消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
このなかで、 (2)の隠れトランプ支持者に関する仮説について検討することにします。なぜなら、今回この説明が特に話題になったと思われるからです。調査対象者が意図的に嘘をつくことが一定の規模で起きたとしたら、世論調査だけでなく、さまざまな質問紙調査やインタビュー調査の信頼が失われることになります。
「隠れトランプ支持者」は存在したか
不穏当な発言を繰り返すトランプ氏に投票する(した)と調査員に答えるのは恥ずかしい、そこで嘘を答える、その結果として調査に基づく予測が実際と乖離する――。これは、いかにもありそうなストーリーです。しかし、選挙やプロスポーツの予測の達人と知られるネイト・シルバー氏が編集長を務める「538」というウェブサイトでは、この仮説に対するいくつもの反証が提示されています。
・トランプ支持を隠したくなるのは、回答者に「社会的に望ましい」回答を行うバイアスがあるためと考えられる。だとすると、トランプ氏がクリントン氏をリードしている州ほど、トランプ支持を隠す必要がないので、世論調査の予測は投票結果に近づくはずだ。ところが、そうした州ではかえってトランプの得票が調査に基づく予測を上回った。
・トランプほど過激ではない共和党の上院議員候補についても、民主党をリードしている州ほど世論調査の予測を上回る票を得ている。大統領候補への投票と同様、社会的望ましさバイアスで予測が外れたとは考えにくい。
・事前の調査から、高学歴者(大卒以上)ほどトランプ支持を(わずかだが)隠す傾向があることがわかっている。しかし、トランプの実際の得票数が世論調査による予測を上回ったのは、高学歴者が比較的少ない州であった。
・トランプ陣営が行った調査では、電話による質問に対してトランプ支持を隠す傾向が見られたが、投票日の直前にはほとんどなくなった。つまり、その時点でトランプ支持であることを隠さなくなっていた。
以上を踏まえると、予測が失敗したのはいわゆる隠れトランプ支持者のためではなく、別の要因によると考えたほうがよさそうです。
Business news pick up
RANKING
17:30更新関連記事
2024.11.23 19:47
2024.11.23 17:00
2024.11.23 16:55
2024.11.23 12:00