パナソニック津賀社長が激白、「パナソニックの常識破壊」改革と100年成長戦略の全貌
今日、製造業は、大きな変化の荒波のなかにある。ビジネスの舞台は世界中に広がり、IoT(モノとインターネットの融合)、ロボティクスなど新技術の台頭が大きなうねりとなって押し寄せる。5年、10年先を見通すことさえ難しい。そのなかで2018年、パナソニックは創業100周年を迎える。
12年に代表取締役社長に就任した津賀一宏氏は、2期連続巨額赤字後の14年3月期にV字回復を達成した。17年3月期は「意思を込めた減益」「足場固めの年」と位置付ける。次の100年を見据え、足元が減益になったとしても、成長につながる先行投資や仕込みを実行する覚悟である。先の読めない時代を、津賀氏はいかに乗り切り、パナソニックをどこへ導こうとしているのか。津賀氏に話を聞いた。
反転攻勢に向かう“津賀体制”
片山修(以下、片山) パナソニックは12年1月、三洋電機とパナソニック電工を統合した組織体制に変更しましたが、社内は混乱していました。津賀さんはカンパニー制を導入し、13年4月に社内を4カンパニーに分けた。事業と社員が完全に交ざり合い、反転攻勢に向かう“津賀体制”が整いました。
4カンパニーのうち、AVCネットワークス社を17年4月に「コネクティッドソリューションズ社」に変更しますね。これはどういうことですか。
津賀一宏氏(以下、津賀) AVC分野は従来、オーディオやビジュアル、ICT関係の製品やサービスを扱ってきました。今後、とくに先進国においてサービス産業の比重が上がり、IoTやロボティクスを使った協業が非常に重要なポイントになる。そこで、「コネクティッドソリューションズ社」と名前を変え、社内の知恵が集まるかたちにします。
片山 IoTやロボティクスに限らず、パナソニックのビジネスは、今やグローバル市場抜きに考えられませんね。
津賀 グローバル市場で勝つために、家電においても戦略を大きく変えました。これまでは、いわばAV機器が上で白物が下でしたが、それを逆転した。プラズマテレビの失敗を機に、主軸をAV機器から白物家電に移したんです。
というのは、AV機器はグローバルに同じ価値観が通用しますから、サムスン電子やLGエレクトロニクスといった、大規模投資を行う企業が成功します。しかし、価格競争に陥れば、それらの企業でさえ儲からなくなります。