そこで三菱重工と日立製作所の合併説が再浮上してきた。11年8月、日立と三菱重工の経営統合の報道が駆けめぐった。“三菱御三家”の長男とはいえ、三菱重工の売上高は3兆円程度。年商10兆円を計画する日立に飲み込まれてしまうとの懸念が三菱グループに強まり、合併には至らなかった。
三菱重工は、巨額の損失を出した大型客船事業からの撤退、MRJ納入延期のほか、原発事業も先行きが見えない。米国の原発では、三菱重工製の蒸気発生器のトラブルが廃炉の原因になったとされ、電力会社から7000億円を超える損害賠償を求められている。仲裁機関の判断次第では、経営に大打撃となる懸念がある。そうなれば、日立との合併が一層、現実味を帯びてくる。
さらに、経済産業省主導で東芝と日立、三菱重工の原発事業を統合する“日の丸原発”構想もあり、急展開を見せる可能性もある。
そごう・西武と高島屋、ローソンとイオンの合併説
流通業界は再編モードに突入した。少子高齢化や人口減少で先細りする市場と、ネット通販の台頭で小売業界は長期的な下降トレンドに入っている。
特に百貨店業界の再編は待ったなしだ。日本百貨店協会がまとめた16年の全国百貨店の売上高(既存店ベース)は、15年比2.9%減の5兆9780億円と6兆円の大台を割り込んだ。1980年の5兆7225億円以来、36年ぶりのことだ。91年の9兆7130億円のピークから市場規模は4割縮んだ。
再編カードは、セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のそごう・西武。井阪隆一セブン&アイHD社長ら新経営陣は、伸びきった戦線の縮小を図る。セブン-イレブン・ジャパンのコンビニエンスストア事業と、創業事業であるイトーヨーカ堂の再生に集中するため、百貨店など不振事業は切り捨ての対象となり得る。
16年9月には、そごう柏店、西武旭川店を閉鎖し、さらに同10月には、阪急阪神百貨店を傘下に持つH2Oリテイリングに、そごう神戸店などを売却した。関西地区の百貨店事業からは事実上、撤退したが、そごう・西武本体の売却を決断するかが注目される。
売却する場合、百貨店再編とこれまで無縁だった高島屋が動く可能性が高い。高島屋がそごう・西武を買収できれば、三越伊勢丹ホールディングスを抜いて業界首位に躍り出るチャンスだからだ。