市場規模の縮小が目立つパチンコ・パチスロ業界。パチンコホールの売り上げは2013年前後の下げ止まりを経て再び減少し始め、最盛期の約3分の2となっている。
そんなパチンコ・パチスロ業界は、これまでもさまざまな問題と危機に直面してきた。
・検定切れの機械を指す「みなし機」の撤去問題
・法の改正や内規の縛りによるスペックのたび重なる変更
・ホール内で独自に釘をいじる、通称「違法釘」の問題
・ギャンブル依存症や子どもの車内放置などの社会問題化
・広告・宣伝の禁止や換金を指す「三店方式」の問題
これらのほとんどは、近年新たに起きた問題ではなく、業界関係者の誰もが認識しつつ見て見ぬふりをしていた“グレーゾーン”として存在していた。これらの問題が業界のイメージダウンや市場規模の縮小につながっていることを否定する関係者はいないだろう。
では、今後さらにパチンコ業界の“パンドラの箱”が開いてしまう可能性はあるのか。都内の繁忙店で店長を務めるAさんに話を聞いた。
メーカーがホールからしぼり取るパチンコ業界
――今後、業界をさらに縮小させてしまうような問題はありますか?
Aさん パチンコ・パチスロの機械の販売価格だね。05年と15年を比べると機械の販売台数は約半分になっているのに、メーカーが潰れないのは販売価格が上がっているから。最近の台はロム(プログラム)の容量が増えて液晶が巨大化し、役物(仕掛け)や筐体が派手になったから、高くなるのは仕方ないとしても、ちょっと高すぎじゃないかな。
――そんな台が数日で飽きられて稼動が落ちると、機械代を回収できませんよね。
Aさん そうそう。それに、昔と比べて新台入れ替えのサイクルが早いので、とにかく大変。でも、近隣の競合店が導入するのに自分の店だけ入れないと、新台が好きなお客さんをごっそり取られるから、入れざるを得ない。これはもうチキンレースだよ(笑)。
――メーカー側に対しては、かなり思うところがありそうですね。
Aさん あるある。昨今の違法釘やスペックの規制によって、メーカーは「大変だ」なんて顔をしているけど、そんなの嘘。
――そうなんですか?
Aさん たとえば、台の強制撤去によって入れ替えが発生するわけだから、メーカーは儲かる。ある意味で、特需だよね。そもそも、検定を通ったまっとうな機械ということで仕入れたのに、今さら「違法だから撤去しろ」「買い直せ」というのはおかしな話でしょ?
――メーカーもホールも、そして監督する警察も、違法であることを知りながら放置していましたよね。
Aさん もちろん、ホール側に非がないとは言わないけど、被害の被り方が尋常じゃない。これはフェアじゃないよ。
――ホールはメーカーから足元を見られているという部分があるのでしょうか?
Aさん そうだね。人気台はなんとしても買わなければいけないし。どんなに「お金がない」「経営が大変」と言っても、中古機市場で100万円を超える台をポンポン買うわけだから、メーカーは「もっとしぼり取れる」と思っちゃう(笑)。