性風俗産業で働く女性(キャスト)のセカンドキャリアを支援する一般社団法人Grow As People(GAP)が今年2月、キャストたちの稼働数や収入、業界に足を踏み入れた動機などをまとめた「夜の世界白書」を発行した。
同白書は、377人のキャストへのアンケート結果から、平均すると月に12日間の実働日数で約40万円の収入がある一方、年齢とともに出勤日数と収入が減少しているといった実態を明らかにし、そのうちの47人もが「なんとなく」働き始めたと回答していることなどを報告している。
このような具体的なデータは今までなく、同白書に注目が集まっている。そこで、今回はGAPに詳しい話を聞いた。
――まず、GAPの取り組みについて教えてください。
GAP 創始者の角間惇一郎が2010年に活動を開始し、12年に一般社団法人格を取得。現在は10人のスタッフが在籍しています。「どんな状況にいても孤立せず、望めば次に行ける。そんなセカイをつくろう」という理念のもとに活動しており、「どんな状況にいても」というのが、具体的にいうと「性風俗産業で働いていても」ということで、「望めば次に行ける」というのは、いわゆる“夜職”から“昼職”への転職や、やはり女性ですので“結婚”や“出産”といったライフステージへ進むということです。キャストの皆さんがそんなセカンドキャリアを実現できる社会の仕組みづくりをしたい……との思いで活動しています。
――サポートの対象は、具体的にどのような方々なのでしょうか。
GAP まずは、極度の貧困であったり、精神障害・疾患をお持ちの方、福祉的なサポートが必要な方。そして、GAPの一番の対象となっているのが、なんとなく風俗を始めて、ずるずると続けている方です。後者は辞め方も知らず、「性風俗店勤務を知られたくない」との思いを抱えつつ、やはり将来に対して漠然とした不安がある。実は7年間の活動のなかで、このような方々が全体の60%と最も多い割合を占めているとわかったのです。
セカンドキャリア支援事業
――具体的には、どのような支援をしているのでしょうか。
GAP セカンドキャリア支援ですが、その前に、前者に対しては一旦しかるべき支援に橋渡ししています。たとえば、性風俗店に在籍していた時の写真がいつまでもインターネット上に残っているといったトラブルや、お客さんの子どもを妊娠してしまったけれど店に言えないなどの悩みに対し、支援をしてくれるしかるべき機関に橋渡しした上で、その後、本人が「昼職にチャレンジしたい」と望めば、改めてセカンドキャリア支援を行っていきます。