東京電力ホールディングスは23日午前10時より、国立代々木競技場第1体育館で株主総会を開いた。52万1298人の株主のうち1200人が出席した。數土文夫取締役会長が挨拶し、自身が議長を務めることを宣言、株主総会は始まった。
スクリーンに映された映像と女性のアナウンスによって、事業報告が行われた。「福島復興に向けた取り組み」「福島第1原子力発電所の廃炉」「原子力安全」から始まり、各事業の概要が述べられた。
目新しい情報としては、以下のような報告があった。
1.電力自由化によって従来のサービスエリア外への電力販売が増えていること
2.ガス事業の小売り全面自由化に対応して、日本瓦斯と提携し年間21.5万トンの都市ガスを供給することで合意したこと
また、今後の対処すべき課題について、廣瀬直己社長をはじめとして、ホールディングス傘下の各社長から説明があった。
提出された議案は、会社側提案が1件、株主提案が11件の計12件あった。会社側提案である第1号議案は「取締役13名選任の件」で、10人が新任となる。
株主提案の議案については、提案した株主がそれぞれ説明を行った。
収益性を維持しつつ、二酸化炭素の排出を削減するため、原子力発電所の早期の再稼動を求める議案がある一方、再稼動反対を声高に訴える株主もいた。再稼動反対派のなかには、「柏崎刈羽原発は貧乏神、ごくつぶし」と揶揄し、再稼動に大金を注ぎ込むことを「ギャンブル依存症と同じ」と激しく非難する株主もいたが、福島第2原発と柏崎原発を廃炉と廃棄物管理のための研究施設とし、世界中から研究者を受け入れること求めるなど前向きな提案をする株主もいた。
東京電力の分社化に伴い、送配電事業を担っている東京電力パワーグリッドを売却し、得られた資金を福島原発事故被害者の賠償金に充てることを求めた株主もいた。政府は原発事故費用を託送料に上乗せすることを示唆している。そのため、売却した資金によって原発事故とは関係ない新たな電力事業者が事故費用を負担させられることを防ごうという趣旨だ。
監査委員にはすべて社外取締役をあて、監査報告をより具体的にするよう求める提案があった。東京電力の隠蔽体質が福島原発事故を生んだとして、客観的立場からの監査を求めるものだ。
ほかに、原発の事故時に避難者を受け入れる周辺自治体と安全協定を結ぶことを求める提案や、福島の子供たちや原発作業員を定期的に保養させるよう求める提案など、株主提案はいずれも原発とかかわりのあるものだった。