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粛々と株主提案をすべて否決
議案の説明の後には質疑応答が行われ、12名の株主が質問した。質問内容も、東京で直下型地震が起きた場合の電力供給への懸念を口にした1名以外は、以下のように原子力に関するものだった。
「原子力から撤退して自然再生エネルギーに力を注ぐべき」
「北朝鮮のミサイルが原発を狙ってきたらどうするのか」
「放射能は怖くないという宣伝をもっとすべき」
「福島第2原発は廃炉にすべき」
これらに対して会社側は、「電力を安く供給するため原発は必要」「電力源はバランスよく保っていく必要がある」「軍事的飛翔物への対処については、国が外交努力によって戦争にならないようにすべき」「福島第1原発には宅急便も届かない。福島第2原発がバックアップの拠点になっている」などと回答した。
質疑応答が終わると、11の株主提案について採決が行われた。「賛成の方、挙手をお願いします」「反対の方、挙手をお願いします」と數土議長は会場に呼びかけた後に、こう続けた。
「事前の、書面によるものと電磁的方法(インターネット)による議決権行使の数を含めまして、反対多数と認めましたので、否決とさせていただきます」
結局、会社提案の議案だけが可決され、株主提案の議案はすべて否決された。
日本の大企業は、銀行や別の大企業が大多数の株を保有し、その議決権を行使することで会社の議案だけが通るようになっている。つまり、株主総会が開催される前から結果は決まっており、挙手を求めるのは“セレモニー”だ。
午後1時すぎ、株主総会は閉会した。
(文=深笛義也/ライター)
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