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服装やベビーカーまで理由…航空機の搭乗拒否が多発!なぜオーバーブッキングは起こる?【前編】

文=牛場春夫/航空経営研究所副所長

なぜ、オーバーブッキングが発生するのか

 なぜ、オーバーブッキングはこんなに多いのだろうか。航空会社が、ノーショー(予約したにもかかわらず、現れない顧客)による機会損失、すなわち「儲け損ない」をオーバーブッキングでヘッジしているからだ。予約には、航空会社などのサービス事業者泣かせのノーショーがつきものである。ノーショーとは、無断で予約を取り消す顧客である。予約とは将来のことを前もって約束することであるから、ノーショーの顧客は約束を守ってくれない人たちだ。ノーショーは、来ると思って用意していた商品が無駄になってしまうのだから、特に航空券などの在庫が効かない無形商品では、収入の機会損失が発生してしまうことなる。レストランや旅館が、予約した顧客のために用意した食材のほとんどを無駄にさせられてしまうのとまったく同じ話だ。

 航空会社は、イールド・マネジメント・システム(YMS)によって、航空便一便一便ごとの過去数年間の予約履歴を分析している。W月X日(Y曜日)のZZZ便の出発前数カ月から出発までの全クラスの予約の出入り(下図:予約曲線)の予約軌跡、ノーショー、搭乗実績を詳しく分析し、将来の同月同日の最も近い同曜日の同一便予約発生を統計科学的に予測している。航空会社は、YMSを使ってノーショー率を予測、その予測に従ってオーバーブッキング数を決めているのだ。

 全日空の国内線の一日当たりの平均出発便数は832便(16年)、一便平均席数240席とすれば、一日当たりの総席数はおよそ20万席の膨大な規模となるので、YMSはビッグデータの解析システムであるともいえる。しかし、いかに優れたシステムといえどもすべて正確に予測することはできないので、どうしてもある程度は予測が外れて予測したノーショー旅客数の過不足が発生する。予測数より実際のノーショーが多い場合は、それだけ機会損失が発生し、その反対に少ない場合はオーバーブッキングが発生してしまうことになる。

 100席の航空便の場合を想定してみよう。YMSによりノーショー率を5%と予測し、5人のオーバーブックングを行って、予想通り5人がノーショーすれば搭乗率は100%となる。オーバーブッキングは発生しない。しかしノーショーが4人以下0人となる場合は、1~5人のオーバーブッキングが発生してしまうことなる。下図「オーバーブッキング概論」で示す通りである。

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