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アメリカではウーバーに登録しているドライバーは売上額の80%を収入として得られ、残り20%を仲介料としてウーバーに払う。ドライバーは最高9万ドルの収入を得られるという。ウーバーのドライバーの70%は副業で、自分の空き時間を活用しているといわれる。
こうした状況下で2016年、サンフランシスコの最大タクシー会社が倒産した。原因は競争激化とドライバーがウーバーやリフトに流れてドライバーの確保が困難になったことだ。
その便利さはタクシーをはるかに上回る。そもそもアメリカのタクシーは呼び出すのが面倒で、アテにならないところがある。日本のタクシーとはサービス精神が大違いなことを考えれば、ウーバーが台頭するのもうなずける。
こうしたビジネスモデルは、IT技術が進化した結果可能となったサービスであり、スマートフォンを利用して、配車サービスという業態で事業を行い、タクシー業者に課される規制や要件を満たす必要がなく、料金表に縛られない。
日本でウーバー等が普及するかどうか、シェアリング・エコノミーが回り続け、成長するかどうかのカギは「信頼」である。タクシー業界は法律の規制の想定外のサービスでアンフェアな競争であると主張する。欧米でも車やドライバーの安全性確保、利用者のプライバシーやドライバーや利用者による差別が問題視されている。
タクシー業界はことさらこうした問題を誇張し、ウーバーの参入に抵抗する姿勢を見せているが、創意工夫により新しいサービスを提供し、柔軟な運賃設定や運賃競争が展開されなければ、欧米と同じように利用者によりウーバー等が選択される日が来るだろう。もちろんシェアリング・エコノミーの普及拡大のためには、阻害する制度や行政の見直しと同時に、安心、安全のためのセーフティーネットの確保が重要である。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)
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