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「とうふ」が予期せぬ大ヒット?ガンダムファンならではのこだわりが口コミで広がる

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「とうふ」が予期せぬ大ヒット?ガンダムファンならではのこだわりが口コミで広がるの画像1相模屋食料の「ザクとうふ」
「Wikipedia」より/Gpx-evo)
 毎年出現するヒット商品。各社はヒット商品を出すために、知恵を絞っている。その開発秘話に商品ヒットのヒントを探ってみよう。

 今回取り上げるのは、相模屋食料の「ザクとうふ」。ザクとは、アニメ『ガンダムシリーズ』に登場する有人巨大人型ロボット兵器のこと。2012年3月28日の発売直後から人気沸騰で話題となり、増産後、シリーズ累計260万丁のヒットになった。ザクとうふは、テレビ番組『がっちりマンデー!!』(TBS系)『SmaSTATION!!』(テレビ朝日)や雑誌をはじめ多数のメディアで取り上げられ、第二弾の『鍋用!!ズゴックとうふ』も発売された。今も世間の注目を集めるこの商品の開発秘話を、同社担当者に伺った。

–このヒット商品は、どのように生まれたのでしょうか?

「当社の鳥越(淳司)社長は、小学生の頃からガンダムの大ファンで、将来なんらかのかたちでガンダムに関わる仕事をしたいと思っておりました。また、当社は日本の伝統食であるおとうふの市場活性化を目指し、『おとうふをおもしろくする』取り組みを展開しております。普段能動的におとうふ売り場に足を運ぶことのない30〜40代男性が、ガンダムとのコラボレーションで積極的に売り場に足を運び、楽しんでいただくことで売り場を盛り上げ、お客様におとうふに関心をもっていただきたいと考え実現いたしました」

 開発者である鳥越社長は現在39歳。確かにガチなガンダム世代。今やガンダム世代である30代後半から40代はマニアタイプの商品消費が盛んなので、コンビニやお菓子でも狙われているターゲットです。この商品は、相模屋食品さんの独自商品。毎月のようにあちこちのコンビニでアニメのキャラクターを模した商品が発売されているので、ここまで話題になった商品はまれともいえる。

–でも、どうしてガンダム本体でなく、ザクなんでしょう?

「企画開発者である社長が、ザクが好きだから。それとザクには、おとうふと共通する点があるからです。共通するポイントは3つあります。まず、ザクは名機であり、ガンダムシリーズの名脇役であることと、おとうふは日本の伝統食であり、食卓の名脇役であるということです。2つ目は、いずれも『量産型』であること。3つ目は、いずれも『基本』であることです。ザクはモビルスーツの基本、おとうふは和食の基本として、誰もが認める物と思います。こうした点から、おとうふとのコラボは、ザクでなければならないと考えました」

●予期せぬヒット

–ザクとうふは、普段おとうふの売り場に足を運ばない30~40代の男性にアプローチするため、お酒のおつまみでもある枝豆味にしたそうですね。当初から、この商品はヒットすると思っていましたか?

「いいえ、まったく予想していませんでした。売れるかどうかという意味でつくったのではなく、夢の実現が目的でしたので」

–夢の実現ですか。商品のヒットについて、社長ご本人はどういう反応でしたか?

「細部までこだわり抜いてつくったパッケージや、プロモーションビデオが、ファンの方に認めていただけたことがうれしいという思いでおります」

–ヒットの要因は、なんだったのでしょう?

「こだわりの部分が、ファンの皆様に共感を得られたところだと思います」

 大きなキャンペーンを打たなくとも、そのこだわりがツイッターでまたたく間に広がり、話題になり大ヒットにつながった。商品のディテールを見てもパッケージを見ても、どれもこだわりすぎるほどこだわった仕様。パッケージは、ザクのモノアイを再現するためにシールを手作業で貼り付けており、そのこだわりがガンダムファンの心をつかんだ。

 他のアニメ関連商品のように、売上を期待して人気アニメにあやかればよいという日和った部分がないのと、社長自身がガンダムファンで、ファンならではのこだわりがこのヒットを生み出した。工場長もガンダムファンで、製造にはノリノリだったとか。

 やはりファンならではの凝りに凝ったこだわりは、ファン同士にしかわからない。今後の商品開発予定は、今のところ未定ということだが、今後もこだわりの相模屋食品さんに注目していきたい。

【今回のヒットの“眼”】

ファンのこだわりを、とことん追求する
(文=樫原叔子)

BusinessJournal編集部

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