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ジワリ内容量減が進む外食チェーン、超絶コスパで“お腹いっぱい”になれるチェーン3選

文=二階堂銀河/A4studio
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はなまるうどんの店舗

 全国に展開する人気外食チェーンのリンガーハットは、小麦の国産化を達成した2010年から開始してきた「長崎ちゃんぽん」と「長崎皿うどん」の麺増量無料サービスを、先月28日をもって終了した。

 3月1日から「長崎ちゃんぽん」は東日本エリアで650円(税込、以下同)、「めん1.5倍」で700円、「めん2倍」だと750円となる。西日本エリアの場合は、それぞれ620円、670円、720円。同様に、「長崎皿うどん」は東日本・西日本エリア共通で680円、「めん2倍」だと780円だ。

 リンガーハットだけでなく、他チェーンでも同様に実質的な内容量減少の傾向は見受けられる。コロナ禍で多くの外食業界企業が窮地に立たされていることは明白だが、このような事態を招く要因は果たしてそれだけなのだろうか。

 フードアナリストの重盛高雄氏にその背景を解説してもらったうえで、「もっとたくさんの量を食べたい」と思っている人のために、どのチェーンが高コスパで食べられるか、おすすめのお店を聞いた。

外食業界で進む実質的な内容量の少量化、なぜ起こる?

 リンガーハットが麺増量サービスを終了したように、多くの外食チェーンは実質的な内容量減少の傾向がみられる。ズバリどういった要因からきているのだろうか。

「一番の理由は、原材料費の高騰にあります。どの外食チェーンの決算書を見ても、原材料費が前年同期比で5%程度上がっているんです。

 それは配送費の上昇と関係しています。かつて配送費が最低値だった時期に、従業員のサービス残業問題などを理由に、ヤマト運輸がアマゾンの配送から一部手を引きました。そういった背景から、現在では徐々に配送費が値上げされており、原材料費も上がっているのです。

 そのうえ、今はコロナ禍での巣ごもり消費によって宅配便の利用がますます増え、配送費はより上昇しています。また、売上減の外食業界は食材自体の配送が減っているため、食材のグラムあたりの宅配コストがかさんでいるのです。

 結果として、コストのバランスを取るため多くの外食チェーンは、まずは内容量を少なくするといった対応をせざるを得ないわけです」(重盛氏)

低価格でたくさん食べるなら日高屋、はなまる、松のや

 では、今でもコスパ上々でたくさん食べられる外食チェーンはどこか。

「中華チェーンの日高屋は、例えば『ラーメンと半チャーハン』といったセットメニューにすると、単品ずつ頼むよりもかなり安くなっておトクです。日高屋といえば、餃子を3つずつ追加できるなど“ちょい飲み”需要に応えている外食チェーンとして以前から有名でしたが、実はそれだけではなく、たくさん食べたい人の需要にも応えているんです。現に、コロナ禍においても客単価は落とさずに経営していますからね。

 続いて、『はなまるうどん』もおすすめです。小・中・大とサイズが上がるごとに麺の量が一玉ずつ増えていき、大サイズは小サイズの3倍の量。おなかいっぱい食べるには十分ですし、量で勝負するという点に関しては天下一品。

 他店のうどん屋はトッピングで勝負しているのが一般的ですが、『はなまるうどん』は『かけうどん』だけで完成品といえますね」(重盛氏)

 最後に、あるシステムを唯一採用する外食チェーンを挙げてもらった。

「とんかつ屋の松のやは、ご飯と味噌汁がおかわり自由です。一部店舗では異なるものの、客がご飯ジャーと味噌汁ジャーから自由によそえるようになっていてます。“ご飯のおかわり自由”は、リーズナブルな同価格帯の外食チェーンでは松のやの他にはやっていないんです。以前やよい軒はやっていましたが、数年前に廃止して以来、他チェーンではどこも取り入れていません。

 松のやはセルフサービスにすることで店員のオペレーションが楽になるという点と、廃棄を少なくしたいという点。この2つのメリットを重視し、サービスを存続させているのでしょう」(重盛氏)

料理の少量化はある層の消費者の需要とマッチしている

 それにしても、こうした内容量減の流れが続くなかで、消費者はそれに満足しているのだろうか。

「内容量の減少は時代のニーズに合っていて、現代の高齢化社会ではトレンドといえます。ですから今後も多くの外食チェーンで実質的な少量化が進んでいくでしょう。

 ただ厳密にいうならば、近年は高齢者を中心とした『おいしいものを食べたいけど、量は多くなくていい』というニーズと、若者の『お金をかけたくないけど、ある程度がっつり食べたい』というニーズの二極化の傾向にあるわけです。ですから、どの年齢層にターゲットを定めるかによって、メニュー内容もかなり変わってくるでしょう。例えば外食チェーンではないですが、コンビニは高齢者層にターゲットを絞っているので、コンビニ弁当の内容量はどんどん減っているように感じます。

 外食チェーンも、同じようにターゲットをある程度明確にして商品を展開しているので、高齢者向けか若者向けか、企業側のメッセージをきちんとつかんだうえで、その商品や外食チェーンを評価すべきでしょう」(重盛氏)

 そのうえで、よりよい消費行動の実現のために、企業側と消費者側のあいだで大切にすべき要素があると重盛氏は説明する。

「今後は企業と消費者のマッチングが非常に重要になってくると考えています。例えば、高齢者向けの商品を若者が買ってしまうと、量が足りなくて価格も高いという印象を抱くのは当然なので、そういった消費のミスマッチが起こってしまいます。反対に、おかわり自由のお店を老夫婦がありがたがることは少ないでしょう。そういった消費のミスマッチをできるだけ回避し、きちんと企業と消費者がマッチングすることが大切です。

 需要の二極化が進むにつれ、お店側の発信力が必要になってくるわけですが、高齢者は若者に比べてどうしても情報に触れにくいですから、マッチングが難しくなります。そのため高齢者をターゲットにした外食チェーンは、今後、どのような形で高齢者に上手に情報を届けられるかが大きなポイントになってくるはずです」(重盛氏)

 需要の二極化が進むという外食業界だが、まずはコロナ禍を無事に乗り越えることが目下のミッションだろう。企業努力で大盛りの高コスパを維持しているチェーンだけでなく、ぜひ外食業界全体を応援していただきたい。

(文=二階堂銀河/A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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