ビットコインバブルに警鐘を鳴らすJPモルガン・チェースのCEO
ビットコイン価格のあまりの高騰ぶりに、“ビットコインバブル”だと警告を発したプロの金融マンがいる。
9月12日付ブルームバーグ通信は、こう報じている
「投資銀行JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)はニューヨークの投資会議で、ビットコインは『良い終わり方はしないだろう』と述べ、バブルが弾けると予言。『これは詐欺』であり、最古のバブルと言われる17世紀のオランダの『チューリップ球根より悪い』と指摘した。同行のトレーダーが仮想通貨ビットコインの取引を行ったとしたら解雇すると言明した」
最初の近代的な株式市場は、1600年代(日本の江戸時代初期)にアムステルダムに開設された。この株式市場を舞台に「チューリップ・バブル」が起きた。
オスマン帝国から輸入されたチューリップの球根がオランダで人気を集め、球根の価格が上がっていき、やがてチューリップ投機に熱狂するようになった。チューリップの価格は暴騰。それまで大した価値がなかった球根1個で、たとえば馬車24台分の小麦、豚8頭、牛4頭、あるいはビール大樽4樽、数トンのチーズ、バター2トンが、それぞれ買える程の高値がついた。
1637年2月3日、チューリップ・バブルは崩壊。突然、球根の価格は100分の1以下にまで大暴落。球根に投機した人々は無一文になり、オランダは長期の不況に突入した。
ビットコインも、このチューリップ・バブルと同じ陶酔的熱狂が起きている。10月20日付AFP通信は、「オランダのとある一家が会社や自宅、車2台、バイク1台などほぼ全ての財産を売り払い、そのお金をビットコインに投資した」と伝えた。
野口悠紀雄・早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問は、ビットコインを推奨したオピニオンリーダーだ。『仮想通貨革命』(ダイヤモンド社)を著わし、中央銀行なしで機能する通貨、国家の枠を超えた通貨としてビットコインは極めて斬新な仕組みだと絶賛した。
その野口教授が11月2日付ダイヤモンドオンラインで、『ビットコインに「欠陥商品」の恐れ 異常な値上がりは不健全だ』と警鐘を鳴らした。「さっそく、逃げ支度か」(金融アナリスト)と皮肉られた。
チューリップ・バブルは、チューリップをオランダの国花にした。実物(実体)のないビットコインは何を残すのだろうか。ただ、泡となって消え行く運命をたどるのだろうか。