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では、アメリカのニューヨーク・タイムズはどうか。ニューヨークには複数の新聞がある。そのなかでも同紙は知識層に読まれている。トランプ大統領が当選したとき、多くのアメリカ在住者がトランプ当選を報じる新聞の一面をツイッター上にアップしていた。ニューヨーク在住の人々がニューヨーク・タイムズの最終版をアップしていたのはともかく、ワシントン在住者がそのワシントン版を、その他の地域にいる人たちが国内版をアップしていたのには驚いた。そしてその多くが記者や大学教授などの知的な階層にいる人々だった。おそらくこの人々はトランプには投票していないだろう。
日本のおかしなところがニューヨーク・タイムズなどの新聞を通じて世界に報じられたとき、海外の知的で影響力のある層がそのおかしさを知ることになる。とくに、安倍首相の問題や歴史修正主義の動きなどは、問題となりやすい。
海外メディアの特派員は、日本が嫌いなのか?
日本がおかしな方向に進もうとしているとき、海外メディアがその問題を指摘することに対して、筆者は賛成である。というのも、日本国内のメディアでは、日本のおかしなところを当たり前のように受け入れてしまっていて、何が問題なのかわからない状況になることが多い。世界中の声を集めて、日本の問題を改善させる方向に持っていかなくてはならない。
では、日本の問題を書く海外メディアの特派員は、日本が嫌いなのか? 実はそうでもない。
ニューヨーク・タイムズ東京特派員を長年務め、一時は元朝日新聞主筆の船橋洋一氏が率いていた日本再建イニシアティブの主任研究員だったマーティン・ファクラー氏は、日本の記者クラブ制度や安倍政権、東京電力福島第一原発事故の問題に対して厳しい姿勢を取り続けている。
しかし、ファクラー氏は、『世界が認めた「普通でない国」日本』(祥伝社新書)のなかで、日本を絶賛している。日本の平和憲法を高く評価し、天皇陛下を「日本の良心」と讃えている。最近の日本人では、「片付けコンサルタント」の近藤麻理恵氏を「天才的な日本人」としている。そしてファクラー氏は、ラーメンが大好きだ。
日本に赴任してきた海外特派員で、日本のことを高く評価する人は多い。厳しい日本へのまなざしは、実は「愛のムチ」ではないだろうか。世界の視点から日本の問題を論じ、その背景には日本への愛情がある。海外メディアの日本批判を、私たちは真摯に受け止めるべきではないか。
(文=小林拓矢/フリーライター)
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