「日本一楽しい漢字ドリル」というキャッチフレーズで、2017年3月から発売されている『うんこ漢字ドリル』(文響社)。シリーズ累計280万部以上を発行する大ヒットを記録し、「教育書の革命」ともいわれている。
「うんこ」という単語がすべての例文に用いられていたり、「うんこ先生」なるオリジナルキャラクターの独特な解説があったりするなど、子どもたちに飽きさせない工夫が大ヒットを後押ししたことは、いうまでもないだろう。
そんな強烈なインパクトを誇る『うんこ漢字ドリル』の名を冠した菓子商品が、17年11月から発売されている。11月にグミが発売されると、翌月の12月にはソフトキャンディも発売されたのだが、これらの発売元は玩具メーカーとして知られるバンダイだ。
17年度上半期の売上高は3088億円と、前年同期比で143億円増のバンダイナムコグループ。そんな好業績の玩具メーカーが、なぜ『うんこ漢字ドリル』の菓子商品化に乗り出したのか? また、必然的に食品の名称に「うんこ」という言葉を冠することになっているが、躊躇はなかったのか?
バンダイのキャンディ事業部で同商品の開発を担当した鈴木綾氏に話を聞いた。
グミ&ソフトキャンディ化の裏に深い理由
「基本的に、テレビや漫画といった枠は関係なく人気キャラクターを商品化して打ち出していくのが、弊社のスタンスなのです。そして、小学2年生の我が子が楽しそうに『うんこ漢字ドリル』で勉強している姿を見ていたこともあり、菓子商品化すれば『絶対に売れる』という自信があり、企画を立ち上げました。
ただし、やはりインパクトのあるモチーフと言葉ですから、弊社の倫理担当者とも議論を重ねた上で、『うんこ漢字ドリル』という“学習書”の『世界観を再現する』というスタンスを守っています」(鈴木氏)
グミは一つひとつが「うんこ先生」の形状をしており、「レア」として通常の約2倍サイズの「ビッグうんこ先生」が入っている。味についても「『うん!』コーラ味」(グミ)、「うん!ころころ ブドウ味」(ソフトキャンディ)という徹底ぶりだ。
そもそもグミとソフトキャンディという素材を選んだ理由について、鈴木氏は次のように語る。
「グミとソフトキャンディが商品の対象年齢である小学生ぐらいの子どもたちに人気のお菓子であるということはもちろんですが、『うんこ漢字ドリル』の世界観やうんこ先生のやわらかさなど、特徴を表現するのに最適な素材だったためです。
特にグミについては、『うんこ漢字ドリル』において最初の“食べられる商品”ということで、とても注力しました。グミの形状についても、『遠くから見てもうんこ先生とわかるように!』とうんこ先生のフォルムにこだわり、原型を何度もつくるほどこだわりましたね」(同)
こうして、あくまで“学習書のキャラクター”という部分を前面に押し出すことで、消費者に「“うんこ”という概念にとらわれて、下品なものを食べている」とは思わせない絶妙なお菓子が完成したのだろう。