「しかし、いくら“学習書のキャラクター”とはいえ、当初は社内からもモチーフに対して反対する声が少なからずあったのは事実です。モチーフがモチーフだけに、『本当にお菓子にしてもいいものなのか』という心配の声ともいえますね。
ただ、企画立案早々の企画会議で、商品をイメージしやすいサンプルをつくって見せたことが功を奏したのだと思います。最初期の企画書内にもイラストを付け加えるなどしてイメージしやすいようにしていましたが、それでもなかなか商品のイメージが湧きにくいということで、レジン(グミに感触の似た樹脂)でサンプルをつくり、納得してもらって企画を通すことができたのです。
もちろん、漢字ドリルとして例文のおもしろさがあり、その人気を証明するように『シリーズ累計200万部突破』といった追い風となるニュースがあったため、『流行っている』という世間的な空気感も、後押ししてくれたのだと思います」(同)
こうして17年11月に発売されたグミは当初から人気を博し、発注数も上々だったという。
食玩商品でトップシェアを誇るバンダイ
そもそも、「なぜ玩具メーカーとして知られるバンダイが、菓子を発売しているのか」と疑問に思う人もいるかもしれないが、同社の事業内容は子ども向け商品全般。実はスーパーマーケットなどに並んでいる食玩食品(おまけ付きのお菓子)では国内トップシェアを誇っているのである。
また、これまでにもアニメ『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)から派生した「妖怪チョコボー」「ジバニャンのチョコボー」などの商品をヒットさせている。そういったキャラクターを起用した商品を成功させてきた実績を考えると、バンダイが『うんこ漢字ドリル』の菓子商品化を実現させたという事実も、“文脈的”に納得できるだろう。
最後に『うんこ漢字ドリル』の菓子商品シリーズの今後の展開について、鈴木氏に聞いた。
「特にグミは非常に好評をいただいており、18年1月からは新しいパッケージデザインで発売予定です。また、和菓子のねりきりでキャラクターを精巧に表現した『食べマス うんこ先生和菓子』が17年12月29日から全国のイオングループの店舗で発売されています」(同)
「うんこ」という言葉の概念にとらわれない遊び心から生まれた『うんこ漢字ドリル』のお菓子シリーズ。バンダイの企業方針とキャラクター戦略が功を奏した、非常にユニークな逸品といえるだろう。
(文=A4studio)