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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第12回 岩田彰一郎氏(アスクル代表取締役社長兼CEO)後編

アスクルとロハコ、アマゾン凌駕の物流ロボット化で秒単位予測…ドライバーをラクな仕事に

文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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片山 アスクルも、その意味で流通業のイノベーション企業にならなくてはいけない。物流には課題が多いですが、いま、自社配送率はどれくらいですか。

岩田 アスクルロジストという子会社の配送網で、アスクル全体の約60%を担っています。

片山 高度先進技術をどのように取り込んでいますか。

岩田 まず、物流センターにはECでは世界初となるピッキングロボットをはじめ、数多くのロボットを導入しています。

片山 ロボット・ベンチャーのMUJINのソフトウェアを搭載したピッキングロボットですね。すごいらしいですね。

岩田 MUJINは、産業用ロボットの自律制御技術を持っています。その技術を使えば、ロボットはコンテナの中に無造作に入れられた、大きさも形も重さもバラバラの商品を持ち上げて、発送用のケースの空いている場所を認識し、きれいに詰めることができます。

片山 ロボットは、教えた作業を繰り返すことは得意な一方、教えられていない作業は苦手というのが常識でした。しかし、いまやピッキングロボットは「ティーチレス」の時代になっている。つまり教えなくても自律的に動作するんですね。

岩田 ロボット自体は、そう高価なものではありませんが、MUJINのコントローラー、つまり頭脳が大事なんです。うちの倉庫では、すでに全3万種類の商品のうち、3000種類ほどの商品を見分け、ピッキング、詰め込みをしてくれています。AIのディープラーニング技術で、学習を積み重ねている。これからさらに点数を増やしていきます。複雑な形状のものを認識してピックアップするロボットは、まだアマゾンにもできていない、世界最先端の技術です。

 24時間働いてくれますので、全体で生産性は3倍。ただ、人間のピッキングの生産性はとても高く、その意味では、いまちょうど人間と勝負するくらいのところですね。ピッキングロボットは、物流センターの火災で2台が“焼死”(笑)してしまいましたが、現在も横浜市のセンターで「Michi」さんというロボットが一生懸命働いてくれています。2月に稼働する大阪・吹田の「アスクルバリューセンター関西」では、10台クラスで動かす予定です。

片山 ロボットには、それぞれ名前があるそうですね。どうやって決めているんですか。

岩田 「Michi」さんは、アスクルロジスト社内のピッキングコンテストのチャンピオンになった、みちこさんの名前から頂きました。ほかにも功績のあった社員や、MUJINの博士の名前などをつけています。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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