防衛省・自衛隊は、この6月にも交代するトップ人事をめぐって揺れている。
現在、陸・海・空の3自衛隊を統べる統合幕僚長は、河野克俊海将が就いている。首相官邸からの信任が厚いことから、異例の定年延長でその任期を延ばしてきた。だが、それも6月までだ。今、東京・市ヶ谷の防衛省では、この3自衛隊制服組トップ人事をめぐる争いも終盤戦に入り激しいデッドヒートが繰り広げられているという。
かつて統合幕僚長職は、「高位高官権限皆無」といわれ、あまり重きを置かれていなかった。しかし、近年の陸・海・空の「統合運用化」が進んだ今、名実ともに「現場組のトップ」として位置づけられている。過去、統幕長は陸海空の各幕僚長から選ばれてきた。すなわち、この6月にも予定されている現統幕長の退任は、陸海空の各幕僚長人事にも影響を及ぼすことになる。
近年、中朝をめぐる緊迫した情勢が続き、自衛隊への理解が進んでいる今、そのトップ人事は経済メディアも関心を高めている。昨年は、経済誌「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/8月26日号)も自衛隊のトップ人事を特集した。
そこで今回、この6月にも予定されている統幕長退任後の自衛隊制服組トップ人事について最新情報を交えてお伝えする。誰がその椅子に座るのか。その人事から透ける「防衛省・自衛隊の意思」を読み取ってみたい。
次期統幕長は、山崎幸二陸幕長で決定か
現在、次期統幕長への就任の可能性があるのは、陸・海・空の3幕僚長だ。
このうちもっとも年長なのが、海上幕僚長の村川豊海将(1981年入隊)である。この村川海将の2年後輩に当たるのが陸上幕僚長の山崎幸二陸将(83年入隊)、航空幕僚長の丸茂吉成空将(同)の2人だ。
制服を着ているとはいえ、防衛省・自衛隊も官公庁の例にならって、人事は「入隊年次」と「実年齢」が大きく左右する。ちなみに、統幕長の定年は62歳だ。
陸・海・空3幕長の実年齢は、入隊年次のもっとも古い村川海将が1958年生まれの60歳、これに1959年生まれの丸茂空将の58歳、1961年生まれの山崎陸将の57歳と続く。