リクルートが採用活動を大改革する。2019年4月入社以降の新卒から、国内グループ9社の採用を統合するとともに、「30歳まで応募可能」「365日通年エントリー」を取り入れるのだ。
3月1日から就職活動がスタートしたが、このリクルートの取り組みは大きな反響を呼んでいる。いったい、リクルートはどんな人材を望んでいるのか。リクルート人材開発室・新卒採用部の飯田竜一グループマネージャーに話を聞いた。
「志望動機は聞かない」面接の中身
――今回の改革には、どのような狙いがありますか。
飯田竜一氏(以下、飯田) もともと、「365日通年エントリー」はリクルートライフスタイルで、「30歳まで応募可能」はリクルートホールディングスで実施していました。この方法が学生に支持されたので、9社に広げました。就職活動は、必ずしも「いつから始めなければならない」「いつまでに終わらせなければならない」というものではありません。そのため、「採用の機会を拡大する」というのが目的です。
また、学生がグループ各社を併願するケースが多かったため、志望者には何度も来社してテストを受けてもらう必要がありました。そういった負担を軽減するとともに、採用活動を効率化するために窓口を統合しました。それにより、採用プロセスや内定後の配属などにおいても、各社の枠にとらわれない動きが実現できます。
――現在の採用活動は3月1日にエントリーが開始され、面接が開始される6月1日には内定を出す企業もあるなど、きわめて短期間のスケジュールになっています。今回の改革は、そこに風穴を開けたのではないでしょうか。
飯田 新卒採用特有の「期間が決まっている」という窮屈感を、採用側も学生側も感じていました。意図としては、「風穴を開ける」というよりも、双方の窮屈感を解消しようというものです。
――「30歳まで新卒で応募可能」は大きなインパクトを与えました。なぜ「30歳」だったのですか。
飯田 大学院の博士課程を修了した方が就職し、3年くらい働いてから自分のキャリアを考える……そういう想定の下で「30歳はひとつの目安になる」ということになりました。もちろん、「学部卒で一度就職した後、新卒枠で応募したい」という方も受け入れる方針です。
――転職については、今は比較的柔軟になっています。中途採用についてはいかがでしょうか。
飯田 これまでの職歴や経験を生かしたいというケースはありますので、これまで通り中途採用として各社で実施します。「職務経験を生かす中途採用」と「経験を問わない新卒採用」というイメージです。一度不合格になった人でも、前回のエントリーから1年以上たっていれば再挑戦できます。
――リクルートが欲しい人材とは、どういう人なのでしょうか。
飯田 リクルートは変化が激しく、柔軟に対応する風土があります。そういった風土に合う人材がベストですが、「こういう人でなければならない」という枠はありません。
ボトムアップの精神で、自分から「これが問題だから、こういうふうにしていきたい」という姿勢は必要です。また、リクルートには新規事業提案制度の「Ring」をはじめ、さまざまな提案をする機会が数多く用意されています。自分から発信するチャンスが日常的にあるのも特徴です。
新卒の面接では定型の質問はなく、志望動機なども聞きません。社員と学生が1対1で、30分から1時間ほどかけて人となりを理解します。