世界最大の資源消費国である中国が、そのパワーを見せつけた。中国の景気回復を受けて、銅や鉄鉱石の価格が上昇。総合商社5社の2018年3月期連結決算(国際会計基準)は、いずれも増収増益で、三井物産を除く4社が純利益で過去最高。5社合計の純利益は前期比33.3%増の1兆8988億円となり、6年ぶりに過去最高を更新した。
資源の比重が大きい三井物産が、3年ぶりに伊藤忠商事を抜き2位に帰り咲いた。
【総合商社5社の純利益】
以下、会社名:18年3月期実績、19年3月期計画
・三菱商事:5601億円(前期比27.2%増)、6000億円(同7.1%増)
・三井物産:4184億円(同36.7%増)、4200億円(同0.4%増)
・伊藤忠商事:4003億円(同13.7%増)、4500億円(同12.4%増)
・住友商事:3085億円(同80.5%増)、3200億円(同3.7%増)
・丸紅:2112億円(同36.0%増)、2300億円(同8.9%増)
三菱商事の純利益は5601億円で、10年ぶりに最高益を更新。総合商社で初めて5000億円の大台を突破した。石炭(原料炭)や銅などの価格が上昇したことで、原料炭や銅を含む金属部門の純利益は76%増の2610億円となり、全体の半分弱を占めた。
金属部門は16年3月期に、銅価格の下落を受けて銅鉱山の資産価値を見直すなどで巨額の減損損失を計上し、三菱商事が創業以来初めて最終赤字に陥る原因となった。
17年3月期からの中期経営計画で、市況に影響されない安定的な収益を目指し、非資源分野の強化を図っている。18年3月期はノルウェーのサケ・マス養殖や東南アジアの自動車事業が利益面で貢献した。19年3月期の純利益は、大台替わりの6000億円を計画している。
「資源商社」と呼ばれる三井物産は、豪州の鉄鉱石や石炭事業が好調で、純利益は4184億円だった。伊藤忠商事を抜き2位に復帰したが、12年3月期の最高益(4344億円)には届かなかった。ブラジルの穀物集荷事業からの撤退が響いた。
純利益に占める金属資源・エネルギーの比率が7割と高い。19年3月期は資源分野で減益を見込んでいることもあって、純利益に占める非資源分野の比率を28%から45%に引き上げる計画だ。運輸やヘルスケアなどを成長分野と位置づけ、戦略的に投資している。18年3月期は欧州の電気自動車(EV)関連や東南アジアの病院事業に出資した。
19年3月期の純利益は4200億円と横這いの見込み。資源分野が減益になるためだが、「上振れ」を予想するアナリストもいる。