7月2日の東京市場は、一時前日比520.03円安の2万1784.48円、終値は492.58円安の2万1811.93円と、2カ月半ぶりに2万2000円を割り込んだ。下げ幅520円は3カ月半ぶりの大きさとなった。東証1部では9割を超す銘柄が下げた。
翌3日は237.37円安の2万1574.56円まで下げ、7月5日に2万1462.95円(254.09円安)。2万1500円割れは3カ月ぶりだ。
株安の流れに歯止めがかからない。上海総合株価指数は連日の安値更新。2016年3月以来の2750割れだ。ドナルド・トランプ米大統領が言及している、ハイテク部品の対中輸出停止が本格化すれば、一段安となる。東証の売買代金は2.25兆円で、ジリジリ安くなっており、セリングクライマックス(大底)の雰囲気はない。
トランプ政権は7月6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動した。産業ロボット、自動車など818品目、340億ドル(約3兆8000億円)分に25%の関税を課した。中国もただちに米国産の大豆や牛肉など農作物を中心に545品目、340億ドル分の追加関税を適用した。2大経済大国が相互に広範な輸入品に関税を課す異常事態となった。
トランプ氏は「最初は340億ドルだが、さらに2000億ドル、次には3000億ドルと増やす」と挑発した。対する中国は「米国は経済史上、最大規模の貿易戦争を仕掛けた」と激しく反発した。中国は同日、世界貿易機関(WTO)に米国を提訴した。
中国の狙いはトランプ氏の強固な支持層である米国の農家に打撃を与えることだ。米国の農家の被害は甚大なものになる。
東京市場は7月6日、5日ぶりに反発。一時、319.17円高の2万1866.16円まで戻し、終値は241.15円高の2万1788.14円だった。この日の動きについて市場関係者は、「土砂降りの中の、つかの間の晴れ間」とたとえた。「貿易戦争の渦中の買いは、目をつぶって藪の中に手を突っ込むようなもの」といった冷ややかな声が聞こえてくる。
7月2日の下げを分析する
7月2日の下げは中国の経済指標の伸び悩みが要因だ。メキシコ大統領選で対米強硬派の急進左派のロペスオブラドール・元メキシコシティ市長が勝利したことなどによる。6月の中国製造業PMI(購買担当者指数)は5月の54.1から51.0に低下。生産活動の鈍化が顕著になった。
ロペスオブラドール氏は「米と対等」を訴え、地滑り的な勝利を掴んだ。保護主義的な姿勢を示しているところは、まさに“ミニ・トランプ”だ。