カローラクロス、発売日は9月14日?ヤリスクロスとRAV4の中間サイズで“鬼に金棒”のトヨタ
いつも話を聞いている新車販売事情通によると、トヨタ自動車「カローラクロス」の発売は、半導体供給不足などの問題もあるので、あくまで予定となるが、9月14日とのこと。ちなみに、生産開始は8月30日が予定されているそうだ。
昨年7月にタイでワールドデビューして以来、メディアではたびたび国内導入を期待するニュースが飛び交っていたが、ついに日本国内でも正式発売となるようだ。
筆者が調べた限りでは、カローラクロスはタイのほか、インドネシアやベトナム、マレーシア、フィリピンなどのASEAN諸国のほか、台湾、南米のブラジルなど新興国でのラインナップだけでなく、北米市場でもすでにデビューしている。日本市場でのデビューは、だいぶ後発になったといっていいだろう。
販売現場でも、カローラクロスの国内導入を歓迎する声が大半となっている。カローラクロスが国内デビューを果たせば、「ライズ」「ヤリスクロス」「C-HR」、カローラクロス、「RAV4」「ハリアー」のほか、「ランドクルーザープラド」と「ランドクルーザー」も加わり、トヨタのSUVラインナップは隙間のない、緻密なものとなるのである。
足りないと言えば、北米や中国などでラインナップされている、3列シート仕様がメインとなるクロスオーバーSUVの「ハイランダー」ぐらいになるが、これも中国の一汽豊田汽車で生産され、中国市場でラインナップされているハイランダーの兄弟車「クラウン クルーガー」が国内導入されるのではないかとの情報が流れている。
セールスマンに聞くと、「ヤリスクロスは納車まで半年ほどお待ちいただかなければならないほどの人気となっておりますが、“ボディサイズが小さい”とのお声もいただきます。その逆に、RAV4では“ちょっと大きいねえ”というお声をいただきます。この2車の中間に位置するサイズとなるカローラクロスが国内デビューを果たせば、まさに“鬼に金棒”となります」と大きな期待を寄せている。
新型アクアの販売は意外に不発?
7月19日に新型「アクア」を正式デビューさせたトヨタだが、8月下旬予定で新型「ランドクルーザー300」を、そして前述したように9月14日にカローラクロスと、今後、あまり間隔を置かずにニューモデルを相次いでデビューさせる予定となっている。当初は「GR86」も、紹介した3車と近い間隔でデビューするのではないかとされていたが、GR86は11月に正式発売予定となっている。
アクア、ランクル、そしてカローラクロスと、人気を集めそうなモデルの相次ぐデビューに販売現場も期待を寄せていたのだが、7月19日にデビューした新型アクアは予約受注も少なく、やや不発気味で発売を迎えたとのこと。「納期も2カ月ほどですので、目立って遅くなっておりません。お客様の反応は薄いものとなっております」(前出のセールスマン)と、販売現場も想定外の状況に戸惑いを見せている。
それとは逆に、8月下旬に正式発売予定の新型ランドクルーザー300は、7月上旬現在で納車待ちがなんと“4年”と、かなり長期の納期遅延となっており、8月1日まで新規受注の受付を一時停止している。
「納車待ち4年ともなれば、発売直後には中古車で買い求めようという動きもあるので、デビュー直後に新型ランドクルーザーを売却すれば、新車での車両本体価格以上の買い取り額が提示されるのはほぼ間違いないです。そのため、予約受注のなかには、納車直後に売却することを目的とした“転売ヤー”や、海外への輸出を目的とした受注も数多くあるのではないかとし、それを洗い出して予約キャンセルを要請し、納期遅延期間を短縮する。受注停止は、そのためのものだったようです」(前出の事情通)
つまり、短期間で3台の新型車がデビューするのだが、そのうちのアクアはやや不発気味で、今後販売苦戦も予想されるのが現状。新型ランドクルーザーは売りたくても納車まで4年待たせることになるので、積極的に販売促進活動ができる状況にはない。結果的には、3台のうち唯一積極的に販売促進活動ができ、販売実績も期待できそうなのはカローラクロスのみとなってしまっているのである。
「9月14日発売というのは、非常に“ビミョー”なタイミングです。65歳以上のお客様を対象に“サポカー補助金”が用意されておりますが、こちらの受付終了予定が9月24日となっております。カローラクロスについて、早めに予約発注をいただき、初期ロットの配車のなかにご希望される車種があれば、サポカー補助金の申請および交付もギリギリ可能となることも考えられますが、一般的には間に合いません。
当然ながら9月中の新規登録もほぼ間に合いませんので、2021事業年度締めでの半期決算セールの実績としては見込んでいないようです。年内に新規登録が間に合う分は2021暦年締めでの年間ノルマ実績として含み、それ以外は2021事業年度締めでの年間ノルマ実績としての計上を狙っているようです」(前出のセールスマン)
カローラクロスへの乗り替え需要に期待の声
予約受注段階では、自分が売ったお客(既納客)のなかからターゲットカスタマーを抽出して販売促進活動を行うのだが、「現行RAV4にお乗りいただいているお客様のほか、ヴァンガードや、数はかなり減りましたがクルーガーなど、絶版SUVに乗られているお客様も狙いどころですね。ヴァンガードは海外輸出を目的とするバイヤーに人気が高いので、下取り査定額が好条件となることも多いのでおすすめしやすいのです。さらには、ヤリスクロスをすでに乗られているお客様にも積極的にアプローチしていきたいですね」(前出のセールスマン)。
残価設定ローンが普及してきたことで、入れ替え時には30万円から40万円ほどの現金は必要となるのだが、月々の支払い額が大きく変わることなく新車に乗り替えることができるならば、納車後1年以内でも新車へ乗り替える人は意外なほど多いとのこと。
ヤリスクロスについては、「やっぱりボディが小さいねえ」といった声も多いそうなので、カローラクロスをすすめやすいそうだ。また、ライズに乗っているお客のなかにも「ダウンサイズしすぎた」といった人も見受けられるので、カローラクロスの乗り替え母体になると考えているようだ。
また、国内仕様の「カローラ ツーリング」(ステーションワゴン)はグローバルモデルより小さいこともあり、荷室も狭く、使い勝手が悪いとの不満もよく聞くので、「それなら」ということでカローラクロスへの乗り替えは十分期待できるだろう。
新型車の販売促進活動というと、年式の古いクルマに乗っている人がメインのように思いがちだが、今時は年式の古い車種に乗っている人は、致命的な故障が発生するか、初度登録から13年超となり自動車税がアップでもしない限り、なかなか新車に乗り替えてくれない。むしろ、新車購入して間もない人のほうが新車への乗り替えに積極的な姿勢を見せるのが、コロナ禍での“ニューノーマル”になりつつあるといっても言い過ぎではない状況だ。
車名に知名度が抜群な“カローラ”が入っている人気のSUVなので、リセールバリューの良さは太鼓判もの。カローラクロスを“人寄せパンダ”として、ヤリスクロスやRAV4およびハリアーをすすめることもできるので、販売現場では「今度こそ」と期待する声が日増しに大きくなってきている。
(文=小林敦志/フリー編集記者)