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小林敦志「自動車大激変!」

C8コルベットに試乗して実感したGMの“懐の深さ”とは?ホンダはNSXの生産終了へ

文=小林敦志/フリー編集記者
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新型「シボレーコルベット」

 前回、「シボレー コルベット」が8代目(C8)となる新型で、それまでのFRレイアウトからMR(ミッドシップ)レイアウトに変更し、いわゆる“スーパーカースタイル”を採用する大胆なモデルチェンジを行ったことについて述べた。

 筆者は、そのC8コルベットの3LTに試乗する機会を得た。試乗したのは、トーチレッドという、ソリッド系の“朱色”と表現すればわかりやすい色だ。正規輸入されているモデルは右ハンドルとなっている。GM(ゼネラルモーターズ)ではC8コルベットを世界戦略車と位置付けており、右ハンドル仕様車も単に“ステアリング位置を変えただけ”といったものではなくなっている。

 ドアを開けてシートに座ると、ある意味意外なほど、座ったときの目線が高いのが印象的であった。アメリカ車、いやGM車独特のケミカル臭が車内に充満し(いわゆる新車の香り)、アメリカ車(以下、アメ車)大好きな筆者はしばし、その“香り”に陶酔してしまった。センターコンソールで助手席と運転席が分断されていることもあり、運転席に座ると囲まれ感が強く、まさにコックピットといっていい雰囲気で、2つの大型ディスプレイに各種インフォメーションがデジタル表示されていた。

 アメリカらしいなあと思ったのが、センターコンソールの進行方向左端に空調操作を中心にしたスイッチがずらっと並んでいたこと。日本車や欧州車などなら、ひとつのスイッチで複数の操作機能を持たせてスイッチの数を減らしたりするだろうが、コルベットではそのようなことはせず、ずらっとスイッチが並んでいるのを見て、「なんだかアメリカらしい」とウキウキしてしまった。ただ、操作頻度の高いスイッチをセンター部に優先配置するなど、操作性は意識しているようであった。

 プッシュスタートボタンを押して、いよいよエンジン始動。“ブォ~ン”という野太いエキゾースト音とともに、V8 OHVエンジンが始動した。電子式シフトレバーをDに入れて、いよいよ発進。もう少し車内にもエンジン音を入れてほしいレベルだが、背後からアメリカンV8 OHVの音が聞こえてくるのが新鮮で、なんともいえない気分となった。3000回転以上に回すと、V8 OHVの“サウンド”がより心地良いものとなっていった。

 アメリカ的な使い方も考慮して高速道路に入る。実際運転すると、見た目とはリンクしないほど運転感覚は極めて“普通”であった。イタリアンブランドあたりのスーパーカーでは、自分の技能不足もあるが、かなり神経をすり減らすように運転するのだが、C8コルベットではそこまで神経質になることはなかった。まっすぐなフリーウェイをひたすら走る、そんな乗り方にピッタリな、あくまで気楽に運転できるグランドツアラーなんだなと納得した。

 ハイスピードで乗り回すという気持ちにならず、スピードをそれほど上げずに乗っていてもなんだか満足してしまう、そこがまさにアメ車らしいのである。今後は、さらにエンジンチューンなどを施したホットモデルが登場してくるようだが、そこと今回試乗した、いわゆる標準車はまったく世界観が違うといってもいいかもしれない。

 C8コルベットでは、エンジンに“シリンダーマネージメント”システムが搭載されている。高速道路を巡行していると、すぐに計器盤には“V4”と表示された。つまり、4気筒のみで走行するようになった。

 街なかを走る某メーカーの路線バスの排気量は、C8コルベットの6200ccに対して5200cc、つまり路線バスよりC8コルベットのほうが排気量は大きいのだが、今回の試乗では、計器盤内の燃費計は8Km/Lを一瞬示すぐらいになったので、シリンダーマネージメントシステムの効果が出ているなと感じた。

ホンダは「NSX」の生産を終了へ

 今回試乗する少し前には、ホンダが「NSX」を生産終了するとの報道があった。ホンダはC8コルベットをラインナップするGMが開発したグローバルEVプラットフォームと、GM独自の「Ultium(アルティウム)」バッテリーを採用した、ホンダ向けBEV(バッテリー電気自動車)2車種を共同開発することに合意している。ちなみに、ホンダは2040年に世界で販売する車両すべてを電動化(BEV、FCEV<燃料電池車>)するとしている。

 一方で、アメリカのバイデン大統領は2030年までに国内で販売する新車のうち、電動車(BEV、PHEV<プラグインハイブリッド車>、FCEV)の販売比率50%を目標とする大統領令に署名している。車両電動化については、欧州委員会では2035年にゼロエミッション車以外の新車販売が実質禁止になる規制を発表している。

 あくまで私見だが、欧州は車両電動化に前のめり気味となっており、バイデン大統領が署名した大統領令、つまり2030年までに新車販売のうち電動車の販売比率を50%にするというほうが現実的に見える。

 GMだけでなく、内燃機関車に厳しい視線が向けられている欧州でも、メルセデスベンツならAMG、BMWならMパフォーマンス、アウディならRSシリーズなどのハイパフォーマンスモデルの生産終了などは考えていない様子。電動モーターを組み合わせたりはするが、時代に合わせながらラインナップを続けようとしている。

 ホンダとしては独自のBEV開発などGMとの協業以外でも電動車開発を進めていくようだが、令和の時代に乗用車でありながら6200ccエンジンを搭載するモデルをラインナップするGMから電動プラットフォームと独自電池の供給を受け、OEMとまではいかないようだがBEVのコア技術を提供してもらい、GMの工場で生産するホンダ向け次世代BEVの共同開発に合意しているのは、なんとも不思議な話のようにも見えてくる。

 伝統工芸品といってもいいV8 OHVについて若手エンジニアへしっかり技術伝承するとともに、シリンダーマネージメントを組み合わせ、今風に仕上げることで、生産終了するNSXとは異なり、コルベットのラインナップを続けながら、最新型のC8では“世界戦略車”とまでいっている。

 コルベットのようなモデルを開発しながら、車両電動化技術の開発および研究もしっかり行っているGMの“懐の深さ”というものを、C8コルベットのステアリングを握りながら感じた。

(文=小林敦志/フリー編集記者)

小林敦志/フリー編集記者

小林敦志/フリー編集記者

1967年北海道生まれ。新車ディーラーのセールスマンを社会人スタートとし、その後新車購入情報誌編集長などを経て2011年よりフリーとなる。

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