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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

ふるさと納税、着実に成果…「返礼品競争」批判は的外れ、税収増は評価されるべき

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

「“ふるさと”納税だからといって地場のものでなければダメという発想自体、世の中の流れに逆行しているように感じます。基本的な主旨から考えて、地域を活性化する取り組みも含めて魅力を伝えた結果として自治体に寄付をしてもらう制度ですから、その主旨に共感が集まって寄付額が増えたのであれば、むしろその努力は評価されるべきだと私は考えます。また、被災地への寄付という形でふるさと納税を活用する人たちもいるわけですから、返礼品のみに国民の関心が向いているわけではないことも改めて意識するべきではないでしょうか」(同)

フロントランナーへのブレーキではなく追随者のアクセルを

 一方、政府の方針の裏には、都市部の自治体から多額の税金が地方に流出している現状に、歯止めをかけたい腹もあるだろう。

「であるならば、東京23区など都市部の自治体も、マーケティング的に効果のある返礼品を用意して寄付を募ればいいと思います。自治体内にコンサートやイベントホールがあるのであれば、そこで行われるアイドルのライブチケットを返礼品にしたり、ホールの期限付き命名権を提供したりといったアイデアで寄付を募ることも可能でしょう。地場産品が乏しくても、都市部にしかできない返礼品のアイデアは無数にあるのではないでしょうか」(同)

 東京都の税金が流出しているのであれば、自分たちの自治体にちゃんと納めてもらえるように努力すればいい、と強調する有馬氏。

「ふるさと納税は、都市部も含めて公平な競争が求められていますが、それは返礼品に規制をかけることで解決するわけではないと思われます。健全な競争を促す国の政策として考えるのであれば、フロントランナーにブレーキをかけるよりも、創意工夫を促して追随者にアクセルを踏ませることのほうが重要だと思います」(同)

 久しく叫ばれている地方創生の第一義はなんだったのか。見直されるにしても、縛るよりも各自治体からクリエイティブな発想が生まれやすい制度が維持されることを望みたい。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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