「ふるさと納税」の勢いが止まらない。総務省自治税務局が7月に発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、平成29年度の受入件数は1730万1584件、受入額は3653億1666万円で、平成20年度に開始以来最高を記録した。初年度は受入件数5万3671件、受入額81億3957万円だったから、件数は322倍、額は45倍に膨れ上がった。とりわけここ3年間の伸びが目立つ。受入額でみると平成26年度の389億円が平成27年度1653億円、平成28年度2844億円、そして平成29年度は3653億円と急増している。返礼品が充実したことと無縁ではないだろう。
都道府県別の状況はどうなっているか。受入件数・額のトップ5は次の通り。
(1)北海道 220万3150件、365億円
(2)佐賀県 171万1533件、315億円
(3)宮崎県 155万3016件、249億円
(4)山形県 131万9505件、226億円
(5)大阪府 99万4419件、201億円
特産品が多い地方の自治体が上位を占めるなかで、大阪府が5位に食い込んでいるのが目を引く。もっとも、これは泉佐野市が1市で86万件、135億円余りを受け入れているからだ。ちなみに受入れ額の多い市町村のトップ5は次の通り。
(1)泉佐野市(大阪府) 86万2082件、135億3300万円
(2)都農町(宮崎県) 43万18件、79億1500万円
(3)都城市(宮崎県) 52万3164件、74億7400万円
(4)みやき町(佐賀県) 12万2058件、72億2400万円
(5)上峰町(佐賀県) 51万453件、66億7200万円
泉佐野市が突出していることがわかる。人気の秘密は返礼品の充実ぶりにある。たとえば、1万円を寄付した場合のポイントは5000ポイント。このランクだと「黒毛和牛A4-5等級霜降りローススライスしゃぶすき用500g」「こだわりのプレミアムオーガニックコットンタオル大盛り15枚セット」などが返礼品となっている。返礼品の商品数は927件。肉、米、野菜、海産物、タオル、旅行、食事、宿泊など、実にバラエティに富んでいる。返礼品の“魔力”が135億円もの受入額をもたらしているのかもしれない。
受入額実績・活用状況の両方を公表している自治体は63.6%
ふるさと納税というと返礼品ばかりが話題になるが、そもそもこの制度は「生まれ故郷やお世話になった地域、これから応援したい地域の力になるため」という趣旨でスタートした。同時に「納税者が寄付先を選択し、その使われ方を考えるきっかけとする」との狙いが込められていた。
それがいつしか返礼品競争の様相を呈し、ふるさと納税の恩恵にあずかれないばかりか、税収が減ってしまう都会の自治体からは不平不満の声が上がるようになった。
この制度はどこまでまともに機能しているのだろうか。受け入れた自治体側の情報公開の実態、募集や受入等に伴う経費の状況をみてみよう。