今月11日、野田聖子総務大臣は記者会見で、ふるさと納税制度について「過度な返礼品を送付し、制度の主旨を歪めているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることを検討する」と制度の見直しに言及した。さらに「ふるさと納税のサイトを見ると、まるでショッピングのようだが、ふるさと納税はショッピングではなく寄付なんだということをわかっていただきたい」と述べ、本来の趣旨と異なる運用をしている自治体があるため「返礼品の還元率を3割以下かつ地元産品に限る」という制度に見直すという。
しかし、それでも現行のふるさと納税制度には大きな欠陥がある。
高額納税者優遇制度になっている
総務省がHP上で公表している表「全額控除されるふるさと納税額の目安」をみてみよう。
【ご参照】
総務省HP「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」
2000円の自己負担金を除き、全額が所得税及び住民税から控除される額の上限である。独身または共働きで給与収入が年間300万円の場合、2万8000円以下のふるさと納税であれば、自己負担は2000円となる。つまり「2000円の自腹で2万8000円のふるさと納税に相当する返礼品を受け取ることができる」ということだ。これが、給与収入700万円になると10万8000円、1000万円になると17万6000円、2500万円になると控除額が84万9000円になる。
これは言い換えると、もし返礼品の還元率が5割の場合、給与収入700万円の人は、自己負担2000円で5万4000円相当の商品が手に入るということだ。5万4000円の商品を2000円で買うことができるのだ。しかも、行政のお墨付き商品なので、偽装もなければ品質も保証されている。売れ残りでもなければ、わけあり商品でもない。こんな超お得なセールは、民間企業では到底できるわけがない。