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しかし、この税金による国の「ふるさと納税特大還元セール」は、非常に不公平なシステムになっている。この恩恵を受けることができる条件は、収入によってあまりにも大きな格差があるのだ。前出の総務省の表を見るとわかるが、たとえば夫婦(配偶者の収入0円、子どもは中学生以下)の場合、以下のようになる。
給与収入 控除額
300万円 1万9000円
500万円 4万9000円
800万円 12万円
1500万円 38万9000円
2500万円 84万9000円
もし返礼品の還元率が5割の場合、収入500万円の世帯は2万4500円相当の商品しかもらえないが、2500万円収入世帯はその17倍強の42万4500円相当の商品が手に入るのだ。どの世帯も負担金額は2000円である。
税金を多く払っている世帯を優遇しているという理屈なのだろうが、ふるさと納税制度は「金持ちほど得をするシステムになっている」ことは間違いない。
寄付して得する寄付は、本当の寄付なのか
総務大臣は「ふるさと納税はショッピングではなく寄付だ」というが、普通、寄付は見返りを求めないものだ。ところがふるさと納税は、寄付といいながら、寄付金以上の見返りがある。一般的な寄付でも、寄付金控除制度はある。たとえば、日本赤十字社に10万円寄付をすると、申告すれば何割かが控除される。控除されるといっても、全額控除されるわけではない。数万円は自己負担になる。自腹を切るからこそ寄付といえるのだ。
ところが、ふるさと納税は、寄付と言いながら自己負担は一律2000円で、数万円、数十万円の商品が手に入るのだ。しかも、ビール券やクーポン券といった金券もある。ビール券を金券ショップに持ち込めば現金に交換できる。金券でなくとも、商品を転売すれば現金収入になる。2500万円の収入世帯は、還元率5割とすれば40万円程度の現金収入を得ることができる可能性がある。これが寄付といえるのだろうか。
さらには、ふるさと納税には、これ以外にもまだ大きな欠陥がある。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)
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