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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」

家の外や家の中の「騒音を消す」画期的スピーカーが人気

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役

 今回は、少しマニアックで“縁の下の力持ち”的な、天井に設置するスピーカーに焦点を当ててみたい。それは、コクヨやヤマハが提供しているサウンドマスキング技術が使われたもので、ソニーやアマゾンなど大手企業のオフィスなどでも使われている。

 リラックスできるオフィス空間を演出するというもの。防音、話しやすさに大きな効果のあるスピーカーで、天井に穴を開ける必要がなく、施工の際に廃材を出さない。今までの遮音性の高いパーティションを使用したりせず、天井や床を通る声も消すという優れものだ。カフェに隣接するオープンスペースや会議室間の音漏れなどにも、かなりの効果があるようだ。

家の外や家の中の「騒音を消す」画期的スピーカーが人気の画像1レクトロファンマイクロ(筆者撮影)

 仕組みとしては、天井に直接スピーカーを設置して、人間の耳の特性を使って、話し声に含まれるごく微量のノイズや空調音、45デシベル程度の音を均一に分散して部屋へ流すことにより、小さな音を聞こえなくする。サウンドマスキング技術は、北米ですでに30年間以上も利用されており、多くのビルなどに設置されているが、健康への悪影響を指摘する科学的研究報告はされていないという。WHO(世界保健機関)は、75デシベル以下であれば長期にわたって触れても聴力障害は生じないとしている。

安眠できる環境を提供

 筆者も手の平に乗るサイズの小さなバッテリー内蔵サウンドマスキングスピーカーを打ち合わせで使っている。独自のアルゴリズムによって常に新しい音を発生させることができる「レクトロファンマイクロ」という商品をクラウドファンディングのMakuakeで6,780円で購入し使っている。音のカーテンのような効果があるホワイトノイズという特殊な音が10種類用意され、深くリラックスでき安眠できる環境を提供する製品で、全米で人気のもよう。日本の電波法、電気用品安全法などの規格を満たして発売に至った。

 レクトロファンのHPには、人気ラッパーのエミネムがコンサートツアー中、睡眠の質を上げるために滞在先のホテルで必ずホワイトノイズを使用していると紹介されている。ちなみにこのスピーカーは、通常のBluetoothスピーカーとして使用できる。

家の外や家の中の「騒音を消す」画期的スピーカーが人気の画像2レクトロファンマイクロ(筆者撮影)

 レクトロファンは、オフィス以外でも以下のような悩みを解決する助けになるかもしれないので、当てはまる場合は、使用をご検討してはいかがだろうか。

(1)大きな道路や線路の近くに住んでいるので、それらの騒音で安眠できない
(2)赤ちゃんを昼寝させたいが、物音や話し声ですぐ起きてしまう
(3)家族のイビキがうるさくて、夜中に何度も起きてしまう
(4)出張が多いが、滞在先のホテルでなかなか寝付けない
(文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役)

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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