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渡辺陽一郎「いちばん詳しい『人気の新車』完全ガイドシリーズ」

トヨタ「プリウス」販売3分の1に激減でも“燃費は最高峰”で今が買い時!

文=渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト
トヨタ「プリウス」販売3分の1に激減でも“燃費は最高峰”で今が買い時!の画像1トヨタ自動車の「プリウス」(「トヨタ プリウス | トヨタ自動車WEBサイト」より)

どんなクルマなのか?

 トヨタ自動車の初代「プリウス」は、1997年に世界初の量産ハイブリッド乗用車として発売されました。順調に進化を重ねて、現行型は2015年に発売された4代目です。3ナンバーサイズの5ドアハッチバックボディに、1.8Lエンジンをベースにしたハイブリッドシステムを搭載しています。

 販売は堅調で、18年(暦年)には11万5462台を登録しました。小型/普通車市場における販売ランキングは、日産自動車「ノート」、トヨタ「アクア」に次いで3位です。

 この売れ行きは立派ですが、先代型に比べると少ないです。09年に発売された先代型は、3年後の12年に31万7675台を登録していたからです。この時代は11年に東日本大震災が発生しており、今と一概に比較できませんが、現行型の発売後3年の実績は明らかに少ないです。12年の販売台数は、先代のホンダ「N-BOX」よりも多く、国内販売ランキングの順位は総合1位でした。

 そこで、現行型は18年12月に大幅なマイナーチェンジを実施して、不人気の原因とされていた外観のフロントマスクやリヤビュー、インパネの色彩などを変更しました。それでも、19年1月の売れ行きは前年の94%、2月が103%なので、マイナーチェンジで需要が上向いたとはいえません。なお販売台数は少ないですが、充電可能なハイブリッドシステムを備えたプリウスPHVも用意されています。

人気を得ている理由

「ハイブリッド車といえばプリウス」という具合に、車名が定着していることは今でも人気の要因です。後席は少し窮屈ですが、3ナンバーサイズのボディで居住性も良く、荷物も積みやすいです。JC08モード燃費は売れ筋グレードが37.2km/Lと優れ、価格は緊急自動ブレーキなどを標準装着した中級のSが256万5000円です。

 ちなみに今は、ミニバンのトヨタ「ヴォクシー」(標準ボディのノーマルエンジン車)、SUV(スポーツ用多目的車)のトヨタ「C-HR」(1.2Lターボの4WD)などの買い得グレードが250万円前後で用意されています。以前は200万円前後がミドルサイズカーの売れ筋価格帯でしたが、最近は安全装備の充実などによって価格が高まりました。プリウスは高機能かつ低燃費のハイブリッド車でありながら、この売れ筋価格帯に位置付けることで購入しやすくなっています。

気になる8つのポイントチェック&星取り採点

(1)居住空間の広さとシートの座り心地

★★★☆☆

 前席は快適ですが、後席は腰が少し落ち込みます。頭上空間も狭めで、4名乗車は可能ですが開放感は乏しいです。

(2)荷物の積みやすさとシートアレンジ

★★★★☆

 リヤゲートはワイドに開き、ヒンジが前寄りなので開閉時に後方へ張り出しにくいです。狭い場所でも開閉できます。

(3)視界や小回り性能など運転のしやすさ

★★☆☆☆

 ボンネットが見えず、ななめ後方の視界も悪いです。15インチタイヤ装着車の最小回転半径は5.1mに収まります。

(4)加速力やカーブを曲がるときの安定性

★★★★☆

 モーターが力強く、特に市街地での加速はなめらかです。先頃の改良で走行安定性も向上しました。

(5)乗り心地と内装の質感などの快適性

★★★☆☆

 乗り心地は街中では硬めに感じます。タイヤの走行音も小さくないです。インパネなどの質感は高まりました。

(6)燃費性能とエコカー減税

★★★★★

 売れ筋グレードのJC08モード燃費は37.2km/L、最廉価のEは39km/Lなので、最高峰の燃費数値です。

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

渡辺陽一郎/カーライフ・ジャーナリスト

1961年生まれ。神奈川大学卒業。1985年に自動車雑誌を中心に扱うアポロ出版株式会社に入社。その後、同社で複数の自動車雑誌やアウトドア雑誌を手掛け、1989年に自動車購入ガイド誌「月刊くるま選び」の編集長に。1997年にはアポロ出版株式会社の取締役も兼任。2001年6月に40歳を迎え、同月に「カーライフジャーナリスト」の肩書でフリーランスに転向。

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