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小林敦志「自動車大激変!」

新型プリウス、月販目標台数が半減…日米で販売苦戦、レンタカーやカーシェア向けに依存か

文=小林敦志/フリー編集記者
新型プリウス、月販目標台数が半減…日米で販売苦戦、レンタカーやカーシェア向けに依存かの画像1トヨタ自動車の「プリウス」(「トヨタ プリウス | トヨタ自動車WEBサイト」より)

 2018年12月17日にトヨタ自動車は「プリウス」のマイナーチェンジを発表した。

 ニュースリリースによると、「先進的イメージを継承しつつ、親しみやすく、より知的で洗練された内外装デザインに変更」「専用通信機DCMの標準搭載による、Tコネクトサービスの3年間無料提供」「安全機能の強化」などが主な改良点となっている。

 そのニュースリリースを見ていて、「月販目標台数6600台」となっていたところが目に留まった。15年12月9日に発信された現行プリウス新発売のリリースでは、1万2000台となっていたからである。マイナーチェンジ後に月販目標台数がマイナーチェンジ前比でほぼ半減しているのには、とにかく驚かされた。

 ちなみに、日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によると、17暦年でのプリウスの年間販売台数は16万912台となっており、月販平均台数は約1.3万台、マイナーチェンジイヤーとなる18暦年での上半期締め販売台数は6万4019台で、月販平均台数約1万台をキープしているのに、月販目標台数ベースで一気に半減させてきているのである。

 グラフAは、14暦年、15暦年、16暦年、17暦年での日本国内でのプリウスの販売台数の推移となる。16年だけ突出して伸びているが、これは15年12月に現行モデルが正式発売となり、16年1月から本格的に販売され始めたことが影響している。しかし、17暦年は16暦年比で約8.7万台落としている。発売直後のバックオーダーを早々に消化してしまったので、予想外に早く販売状況が落ち着いてしまったことを物語っている。

新型プリウス、月販目標台数が半減…日米で販売苦戦、レンタカーやカーシェア向けに依存かの画像2グラフA(出典:自販連)

 グラフBは、過去10年間のアメリカ市場におけるプリウスの年間販売台数の推移を表している。04年から08年は資源バブルが世界を席巻し、アメリカ国内も狂乱的なガソリン価格の高騰が発生し、2代目プリウスが07年あたりをピークに爆発的に売れた。11年で落ち込み、12年で急に伸びているのは、アメリカ市場では3代目が12年モデルとしてデビューしたため、新型車効果で一気に販売台数が伸びたと考えられる。

新型プリウス、月販目標台数が半減…日米で販売苦戦、レンタカーやカーシェア向けに依存かの画像3グラフB(出典:トヨタ北米サイト)

 その意味で興味深いのは、現行モデルがアメリカでは16年モデルとしてデビューしているのだが、11~12年と同じような変化がなかったということ。むしろ、15年より16年のほうが販売台数を落としているのである。

 この傾向の大きな理由のひとつとしては、すでにこの時期はアメリカ経済が好況に転じてきていたことがある。ガソリン価格も全米レベルでは狂乱的に高騰していた一時期に比べれば安めで安定期に入ってきており、多くの消費者がガソリン価格にあまりナーバスではなくなり、ハイブリッド車への興味が薄れてしまったのである。

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 アメリカにおいてハイブリッド車がもてはやされるのは、“エコロジー”ではなく“エコノミー”という側面が圧倒的に強い。もちろん、カリフォルニアあたりでは、まじめに地球環境保護を考えてプリウスなどのハイブリッド車を好んで乗る人も目立つ。ほかに単にファッション感覚で乗る人もいるが、カリフォルニアでは常々「ガソリン価格が1ガロン(約4リットル)で5ドルに近い4ドル台になると、ハイブリッド車が売れ出す」ともいわれるぐらい、ガソリン代セーブという観点でハイブリッド車が注目されている。

小林敦志/フリー編集記者

小林敦志/フリー編集記者

1967年北海道生まれ。新車ディーラーのセールスマンを社会人スタートとし、その後新車購入情報誌編集長などを経て2011年よりフリーとなる。

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