中島 Facebookも、商品開発の拠点はアメリカ本社ですから、基本的には同じです。しかし一方通行ではなく、「日本市場ではこういうニーズがあって、こういう課題を抱えている」ということは常に伝えており、商品化に当たってはそうした事情を考慮する仕組みができています。それに、オープンなカルチャーとフラットな組織なので、入社したばかりの社員でも、「こういう商品があったほうがいい」とか、「ここを変更すれば売れるのでは」というようなアイデアがあれば、本国に対して提案できます。そして、本国がそれを承認すれば商品化されます。
●世界的な社員の情報共有システム
–中島さんは中途採用で入社され、かつ前職とは異なる職種に就かれましたが、研修制度などはどのようになっているのですか?
中島 Facebookにはさまざまなトレーニングプログラムが用意されており、誰でも手を挙げて、自分に必要だと思うトレーニングを受けることができます。また、当然のことながら、社内ではFacebookを使って誰かが投稿した質問に対して世界中の社員が答えるという仕組みもできています。というのも、情報量がすごく多く、かつ商品の数も多い上に、仕様が変更になる場合もあります。つまり、毎日何かしら新しいことが起きています。そういう中でよく理解できないことが出てきたときや、何かしら疑問を持ったときなどに、もちろんチームメートにも聞きますが、自分から質問を投稿し、あるいは世界中の誰かが投稿したものを見て理解するということもできるわけです。
商品についてはアメリカの社員のほうが詳しいことが多いので、彼らに対して質問を投げることが多いです。そういう形でグローバルに情報を共有しています。ただ、裏を返せば、どこかから自動的に情報が送られてくるわけではないので、「何か自分から情報を発信しなければ、何も情報を得られない」ということでもあります。
–現在の、お仕事の内容について教えてください。
中島 私は、メディアソリューションズというセールスチームに所属しています。このチームは広告のスペシャリストという位置づけで、営業と同行し、例えばある企業様がキャンペーンを展開する際に、どのような広告をFacebookに掲載するべきか、実際の運用も含めて、コンサルティングを行います。純粋にニュートラルな観点から、お客様に最も適した広告を提案するというのが私のタスクです。
—外資系企業で働く上で、もしくは現在の職種にとって必要なことはなんですか?
中島 仕事に熱意を持つこと、それから自習力が必要ですね。そして、何事にも前向きに取り組む姿勢を持つことが重要だと思います。受け身の人は向かないと思いますね。
–これまでのお仕事の中で、特に印象に残っていることはありますか?
中島 モバイル専用の商品に関して、日本からの提案が商品に反映されたことです。Facebookとしてはグローバル対応の商品が基本で、日本市場だけに特化した仕様変更などはしません。でも、日本市場のニーズやマーケットの特性を理解してもらい、私たちの提案が商品に反映されました。とても感激しましたね。そして、災害用伝言板など、日本発のサービスや機能も開発するようになりました。
それから、今年2月に、東京・六本木の新しいオフィスに引っ越したことですね。ここに移った時には、みんな感動しました。以前はマンションの一室をオフィス代わりにして、そこで十数名の社員がひしめき合いながら仕事をしていました。新しいオフィスは60人分以上のスペースがあるので、一気に人口密度は低くなりましたね(笑)。それにキッチンもありますし、会議室も増えました。
●「Focus on impact」
–今でも悔いが残るような失敗を経験されたことはありますか?
中島 日本人はみんな頑張り屋さんですよね。無理なことを頼まれても、「残業する」とか「ちょっと無理してやればできる」と思ってしまうので、ついつい「イエス」と言って仕事を受けてしまいがちです。前の会社で働いていた時ですが、私自身、あまりにも「イエス」と言い仕事の量が増えすぎ、最終的に仕事の質を落としてしまったことがありました。
外資系企業特有のことかもしれませんが、できないことは「できない」、時間が必要であれば「時間が必要です」と、はっきりと言わないと伝わらない。たとえその場がちょっと気まずいものになっても、言わないとダメだと気づきました。