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2月、えげつない値上げラッシュ、倒産増か…電気料金は年3千円、冷凍食品は20%

文=Business Journal編集部
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(「Wikipedia」より)

 春は値上げの季節である。菓子パン、ソーセージ、トマトケチャップ、パスタ、冷凍食品など身近な食品の値上げが相次ぐ。主な製品を列挙してみる。

・小麦粉

 日清製粉ウェルナは2月1日からパスタやパスタソース製品の価格を3~9%上げた。小麦粉製品は1月4日から3~6%アップ済みだ。ニップンも2月1日から家庭用パスタやパスタソースを2~9.5%、乾麺は1.5~5.5%上げた。家庭用小麦粉は1月4日から1.5~9%値上げした。これに連動するかたちで小麦を使った加工食品のパスタやパンの価格が上昇した。

・食用油

 J-オイルミルズは2月1日納品分から、昭和産業は3月1日納品分から、それぞれ1キログラムあたり40円値上げした。

・しょうゆ

 キッコーマンは2月16日からしょうゆを4~10%値上げした。

・ハム・ソーセージ

 日本ハムが2月1日から家庭向けハム・ソーセージ40品、加工食品133品、業務用食品232品目、冷凍食品19品を5~12%値上げした。プリマハムも2月1日から家庭用ハム・ソーセージや加工食品など計200品を5~12%値上げした。

・冷凍食品

 日本水産(ニッスイ)は2月1日から家庭用すり身製品50品を5~13%、家庭用冷凍食品63品は4~13%、業務用冷凍食品179品を1~13%値上げした。マルハニチロは2月1日から家庭用冷凍食品を2~23%、3月1日からは家庭用缶詰、瓶詰商品41品を3~15%、家庭用すり身商品を5~11%値上げした。味の素冷凍食品も2月1日から家庭用製品を4~13%、業務用製品を3~8%値上げした。

 エネルギー価格の上昇も止まらない。大手電力会社やガス会社は2月から一斉に料金を改定した。電力大手10社は使用量が平均的な家庭で1月と比べ東京電力が330円、中部電力で351円、関西電力は215円高い。東京ガスや大阪ガスなど大手ガス4社で200円以上の値上げだ。さらに3月も値上げを予定している。レギュラーガソリンの全国平均価格(1リットルあたり)も1月に13年ぶりに170円を超えた。コロナ禍から経済が回復途上にあるため、需要に供給量が追いつかず、世界的に価格が高騰している。企業が値上げする理由はさまざまだが、原材料の価格高騰と原油価格の上昇による物流費・包装資材の上昇の影響が大きい。

値上げしても追いつかない企業も

 キッコーマンの21年4~12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前年同期比18%増の3848億円、純利益は29%増の333億円と増収・増益だった。国内のしょうゆ販売は巣ごもり需要の前年の反動で微減となったが、海外で外出規制の緩和が進み、レストラン向けのしょうゆなど業務用の販売が大きく伸びた。21年11月から北米でしょうゆ製品を値上げし、大豆などの原材料高を吸収した。

 キッコーマンの22年3月期通期の売上収益は前期比12%増の4938億円、純利益は17%増の364億円の見通し。大豆などの原料高を吸収するため、2月に国内でも14年ぶりに、しょうゆや豆乳の値上げに踏み切った。

 カゴメの21年12月期連結決算(国際会計基準)は、売上収益は前期比4%増の1896億円、純利益は31%増の97億円で増収増益だった。コロナ禍の巣ごもり需要の継続で主力の野菜飲料などが好調に推移した。

 それでも、原材料となる輸入トマトの価格や物流コストの高騰が響き、22年12月期は最終減益を見込む。コストの高騰を吸収すべく4月から主力のケチャップなど調味料類で7年ぶりの値上げに踏み切るが、22年12月期の業績予想の純利益は10%減の88億円とした。

 昭和産業は22年3月期の連結売上高を前期比12%増の2875億円に上方修正した。従来予想は9%増の2800億円だったから微増である。純利益は60%減の40億円になる見通し。従来予想は41%減の60億円だったから減益幅が拡大する。食用油原料の大豆や菜種、業務用製粉などに使う小麦の相場の高騰が響くほか、円安・ドル高で輸入コストが上昇しているのが痛い。

 昭和産業は3月1日納品分より家庭用食用油で1キログラム40円以上上げた。21年に年間4度の値上げを実施したが、大豆や菜種は今後も国際相場の高止まりが懸念されている。

価格に転嫁できない中小企業の倒産が増える

 値上げラッシュは何をもたらすのか。原材料高を価格に反映できるのは、一部の大企業に限られ、多くの中小企業では値上げが浸透しないのが実態だ。帝国データバンクの調査によると中小企業の約6割で仕入れ価格が前年同月を上回ると回答したが、その半数超で「販売価格への転嫁は無理」と見ている。過去の小売業の倒産では「仕入れ価格の上昇時に、消費マインドの低下を警戒して価格転嫁できなかった結果、しわ寄せを受けた末に資金難に陥り、経営に行き詰ったケースが少なくなかった」と分析している。

 飲食業を中心に“コロナ倒産”の次は製品価格の上昇を販売価格に転嫁できない、“インフレ”倒産が続出することになり、これが食品など他の業種にも波及する。構造的な要因を含むインフレ倒産の退治は、簡単にはいかない。

BusinessJournal編集部

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