高いコスパで老若男女に愛される回転寿司。こだわりの寿司ネタもさることながら、食事の締めに頼むデザートのクオリティが高いことでもよく話題に上がっている。そんな回転寿司のデザートは、チェーン店ごとにどれほどの違いがあるのだろうか。
そこで今回は「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」「はま寿司」の4ブランドで、人気デザートメニューを食べ比べ。今回は各店舗で“ケーキ”と“オリジナリティの高いデザート”を1品ずつ選出し、比較を行った。
総評で優勝チェーン店も決めているので、ぜひ最後までお読みいただきたい。
スシロー
大阪の立ち食い寿司屋「鯛すし」が始まりとされる回転寿司チェーン店・スシロー。直近のデータで国内600店舗以上と業界No.1の店舗数を誇り、165円のメニューを110円で販売する、「100円祭り」といった期間限定キャンペーンをよく打ち出すことでも知られている。
【ショコラケーキリッチ/220円(税込、以下同)】
スシローのケーキメニューとして選んだのは、220円の「ショコラケーキリッチ」。スシローに行くと必ず頼むという人もいるほど定番の人気デザートだ。
甘さは控えめでチョコの苦味が強めな大人の味。スポンジはしっとりとしており、間に挟まれる薄い板チョコやチョコクリームと相まって食べ応えもいい。だが、気になったのは上部のチョコクリーム。一見すると全面に乗っているようだが、実はチョコクリームは先端部分には付いていないのだ。非常に美味なチョコクリームなだけに、悔やまれるところである。
【練乳いちごパフェ/330円】
スシローで“オリジナリティの高いデザート”に選出したのは330円の「練乳いちごパフェ」。SNSで検索するとリピーターが続出している様子だが、多くの人を惹きつける理由はどこにあるのだろうか。
バニラビーンズ入りのアイスと、いちごアイスが乗った贅沢仕様の本品。さらにアイスの上には練乳といちごソースがかけられており、酸味の強いフローズンカットイチゴも良いアクセント。上品な甘さのアイスの下にはホイップクリーム、その底にはスポンジ、いちごババロアまで入っている。満足度の高い一品だが、アイスが硬めな点とクリームが重い点が少し気になった。
くら寿司
直近のデータで国内約500店舗を展開しているくら寿司。大阪の堺市で1977年に産声を上げて以来、40年以上親しまれてきた。人気の要因のひとつに、遊び心に溢れた店舗設計が挙げられるだろう。とりわけ、食べ終わった皿を回収口に投入することで遊べるガチャガチャの「ビッくらポン!」は、くら寿司を代表するシステムとして有名だ。
【北海道ミルクレープ/320円】
くら寿司でケーキメニューに選んだのは、320円の「北海道ミルクレープ」。くら寿司のネット通販でも販売されているという定番人気デザートだが、その実力はいかほどだろうか。
本品は硬めのクリームが特徴的。クレープと共に食べた食感は、“ふんわり”というより“ねっとり”だ。しかし、決して重たさはなく、甘さも控えめ。不思議とさっぱりした後味はクセになる美味しさ。甘いのが苦手な人にこそ、おすすめしたい良品である。
【水まんじゅう/220円】
くら寿司のオリジナリティを感じるデザートとしてチョイスしたのは、「水まんじゅう」というメニュー。寿司チェーン店のデザートでいうと、わらび餅などは見かけるが、水まんじゅうはあまりないのではないだろうか。
緑、黄、紫、赤と直径3cm程度の小さな水まんじゅうが4つセットの本品。外側部分はプルプル食感。緑は抹茶あんで爽やかな風味だが、意外にも甘味は強め。黄色は皮がレモン風味で中は白あんで、甘味強めだが後味はさっぱり。紫は紫芋のあんで甘さは控えめとなっており、芋の皮の粒々食感もおもしろい。赤は白あんベースの梅味で、少し塩気があり駄菓子風の味わいだった。
かっぱ寿司
カッパ・クリエイト株式会社が1983年から運営しているかっぱ寿司。直近のデータで国内約300店舗と他チェーン店に比べると少なめだが、鮮度にこだわった商品提供スタイルや、安さよりも品質にこだわった姿勢で、固定ファンを獲得している。
【ベイクドチーズケーキ/275円】
かっぱ寿司のケーキメニューは「ベイクドチーズケーキ」だ。275円という強気の価格設定だが、その分美味しさへのこだわりは強いようで、ネット上では“カフェで出せるレベル”と太鼓判を押すファンもいた。
チェダーチーズ風の上層とチーズクリームの中間層に分かれており、その食感はねっとり&しっとり。チーズの醸された香りがしっかり感じられる。安いチーズケーキにありがちな油っぽさもなく実に美味で、下のスポンジはバターが染みておりフィナンシェのよう。値段に見合う非常に満足度の高いデザートである。
【まぜまぜシェイクチョコレートバニラ~エクアドル産カカオの香り~/330円】
かっぱ寿司のデザート2品目は330円の「まぜまぜシェイクチョコレートバニラ~エクアドル産カカオの香り~」。寿司屋でシェイクを飲めること自体驚きだが、ネット上では絶賛の声が相次いでいる通り、真に驚くべきはそのクオリティだった。
程よく溶けたバニラアイスは、ミルキーだが軽さもあり非常に美味。クランチーなカラメルが乗っているのだが、これがアクセントになり楽しい。ドリンク部分は甘さ控えめのココアになっており、自分のリズムでアイスを溶かしてシェイクにできるのが最高な一押しデザートだ。かっぱ寿司の商品開発力、おそるべし。
はま寿司
最後は、牛丼チェーン店の「すき家」で知られる株式会社ゼンショーホールディングスが2001年から展開しているはま寿司だ。業界内では後発でありながら、その勢いは好調で、直近のデータで国内550店舗以上を有している。
【フランス直輸入濃厚ガトーショコラ/220円】
はま寿司のケーキとして今回選んだのは、220円の「フランス直輸入濃厚ガトーショコラ」だ。その名の通り、フランスから取り寄せたという香り高いチョコが自慢とのことだが、どんな仕上がりなのか。
濃厚なうまみとしっとりとした口当たり、チョコの芳醇な香り。本品を一口食べて感じたのは、カフェで出てきても遜色のない超本格派のガトーショコラということだった。感心したのは、余計なものを一切乗せず、甘さ控えめのホイップクリームもあえて横に添えるだけというシンプルさ。味に自信がなければ真似できないスタイルといえる。
【フレッシュパイン/110円】
はま寿司からもう一品選んだデザートは「フレッシュパイン」。110円とお財布に優しい価格設定ながら、食後の胃袋をさっぱりさせてくれる実力があると、隠れファンも多い一品だ。
非常にジューシーで、パサパサ筋張った感じはなし。噛むごとに水分が溢れ出る爽やかなフルーツ。食べやすい切り込みも入っており、フォークを縦に入れるだけでスッと取れるのも嬉しい。甘さは控えめなので、濃厚なデザートが苦手な人ならばぜひ注文してみてほしい。
総評…優勝はかっぱ寿司
ここからは、今回の食べ比べの総評を行っていこう。
“ケーキメニュー”に関しては、かっぱ寿司の「ベイクドチーズケーキ」とはま寿司の「フランス直輸入濃厚ガトーショコラ」が、クオリティが高く美味。ケーキメニューで気になる“油っぽさ”を両者とも丁寧に取り除いており、この一手間で細かく仕掛けられた味のハーモニーに集中していける感覚があった。いずれも200円台というのも嬉しいポイントである。
スシローの「ショコラケーキリッチ」も200円台とリーズナブルにもかかわらず、こだわりは随所から感じられたが、チョコクリームが足りないという大きな欠点は減点対象と言わざるを得ない。くら寿司の「北海道ミルクレープ」はさっぱりした味わいで美味しいのだが、ミルクレープの持つふわふわ感がほぼなかったので、その点で面食らう人は多いだろう。唯一300円台なので、コスパが良いとは言いづらい。
“オリジナリティの高いメニュー”に関しては、スシローの「練乳いちごパフェ」は330円という価格にふさわしい具材の多さで総合値は高かったのだが、アイスの硬さからくる食べづらさが残念だった。はま寿司の「フレッシュパイン」は新鮮なパインを110円というお手頃価格で提供しているのは良かったが、もう少し甘さがあってもよかったという印象。くら寿司の「水まんじゅう」は味のバリエーションは豊富だが、和菓子とは思えぬ甘さで胸焼け気味になってしまい、甘さ的に4つは多すぎると感じる人もいるかもしれない。220円で4つだったので、110円で2つにしてくれたほうが手を出しやすいのではないだろうか。
そんななかで特筆したいのは、かっぱ寿司の「まぜまぜシェイクチョコレートバニラ~エクアドル産カカオの香り~」。これは他のチェーン店とは別次元のクオリティであった。香りの豊かさ、甘さのバランス、食感への配慮、自分でアイスを崩しながら食べるエンタメ性。どれをとっても非常に満足度が高く、かっぱ寿司の味へのこだわりの本気度がうかがえた。330円という少し高めの設定ながら、その価値は間違いなくあると断言できる。
今回の比較で優勝を決めるなら、かっぱ寿司になるだろう。“ケーキメニュー”の高水準もさることながら、やはり“チョコシェイク”の圧倒的な出来栄えに脱帽したのが大きかった。
ただ、いずれのチェーン店も回転寿司屋で出てくるとは思えないクオリティのデザートだったため、「回転寿司屋でデザートなんて……」と避けていた方は、騙されたと思って食べてみてはいかがだろうか。
※メニュー情報は2022年9月17日現在のものです。