【バンコク時事】ソフトバンクは昨年10月から、グローバルIoT(モノのインターネット)回線サービスの販売をアジア太平洋地域で本格的に開始している。低容量に特化しているため、建物や工場の設備管理や物流のトラッキングなど、通信頻度が少なく低コストでの利用が求められる設備への導入に最適だとしている。2025年度中に日本やシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシアなどアジア太平洋19カ国・地域で回線契約数200万回線を目指す。
サービス名は「1NCE(ワンス)」。ソフトバンクは世界規模で同サービスを提供するドイツの1NCE社に出資したことを受け、アジアでの独占販売契約を締結した。ソフトバンクの中林真人グローバルIoTサービス部長は、1NCEの特長を「圧倒的な価格と手軽さ」と強調。世界165カ国・地域以上で利用でき、料金プランは世界共通で1回線当たり10年間一括15ドル(約2200円・送料別)、データ容量500メガバイト(MB)となっている。月間0.125ドル、4.2MBの計算だ。SIMカード1枚からオンラインで購入が可能だという。
◇「スマートメーター、農業畜産にもフィット」
1NCEは低容量向けIoTサービスのため、データ容量が大きいビデオ監視やデジタル看板、自動運転車両の制御などには向かない。また、高度な通信品質を求められる医療分野などにも適さないという。中林氏は「設備管理やコンテナの位置などのトラッキング、電気・ガス・水道などのスマートメーター、農業畜産、自動販売機関連などにフィットする」と利用が想定される用途を説明した。
ソフトバンクは、運輸・物流などの利用企業だけでなく、これらの企業にIoTサービスを提供している会社にも売り込みを図り、契約数を拡大する方針。日系企業と組んでいる地場のIoTサービスプロバイダーもターゲット顧客になるという。
中林氏は「回線コストの高さがIoTが広まらない原因。導入コストの削減により、IoTを広めていきたい。また、エリアごとに異なる複雑な料金プランも導入の障害になっていたが、世界ワンプライスのため、多国間で営業している企業もコスト予測がしやすい」とアピールした。
タイでの販売について、SBテレコム・タイランドの営業担当、谷岡慎吾氏は「1NCEは国境をまたいで利用できるSIMで、一番良い電波をつかむことができる。カンボジアなどへの展開も含め、評価いただいている」と語った。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/04/02-20:15)