ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のショー「クロミ・ライブ」で、立入禁止エリアに多くの子どもが続々と乱入し、スタッフが対応に苦慮する様子が収められた動画が拡散され、物議を醸している。運営会社はどのように受け止めているのか。SNS上では、「退場されるべき」「出入り禁止にしたほうがいい」「親に責任を取らせるべき」などの厳しい声が飛び交っているが、USJとしては厳しい処分は考えていないという。
世界屈指のテーマパークであるUSJは、来場者数を公式発表していないが、例年1000万人以上の入場があるとみられている。ハリウッド映画の世界観を堪能できる施設として2001年にオープンし、『SPY×FAMILY』『名探偵コナン』など日本のアニメともコラボするほか、『スーパーマリオ』『ドンキーコング』といった任天堂のゲームの世界観も体験できることから、子供の人気が高いことも特徴的だ。
また、ハリウッド映画のキャラクターであるウッディー・ウッドペッカーをメインに、『セサミストリート』『ピーナッツ』『ハローキティ』などのキャラクターにも会えることから、幅広いファン層から支持を得ている。
そんなUSJで、ハローキティなどサンリオの人気キャラクターが登場する「クロミ・ライブ」というショーが行われているが、5月11日にショーが行われた直後、立ち入り禁止区域に多くの子供が続々となだれ込み、ショーの演出として使われたコンフェ(紙吹雪)を拾い集める様子が動画に収められSNSに投稿された。
クロミライブのクルーさん可哀想すぎない?
— おなすちゃん🌏 (@myoureichan) May 12, 2024
何度も何度も「お子さん見ていただけますか」「青い線まででお願いします」ってこの後もずっと叫んでたよ。
お子さん怪我しちゃうよ😢
親全然動かないし…
親が行ったと思ったら一緒にコンフェ拾ってるし… pic.twitter.com/YbKpIb5TH4
すると現在までに約700万回も再生され、「ずっと叫んでいるクルーが可哀想」「親は何をしてるのか」など批判の声が殺到。そのほとんどは、子供ではなく対応しない親に対して怒りを向けるものだ。
USJの運営元はどのように受け止めているのか
USJでこのような混乱が生じることはあまり耳にしないが、運営会社はどのように受け止めているのだろうか。Business Journal編集部は、USJを運営する合同会社ユー・エス・ジェイに話を聞いた。
――「クロミ・ライブ」の後に立入禁止エリアに多くの子供が入っている動画が拡散されて物議を醸しています。
USJ広報「その動画は確認しています。普段からこのような混乱が起こっているわけではなく、たまたまお子さんが立入禁止エリアに入った日に、その動画が撮影されてSNSに投稿されたのです。しかし、再発防止のために運営方法の見直しなどを検討しています」
――この立入禁止エリアは、どのような場所なのでしょうか。立ち入ることで、なんらかの危険が生じたりするのでしょうか。
USJ広報「パーク内のショーでは、シアターのように舞台と観客席が分断されていることもあれば、ゲストの近くまでパフォーマーが寄って演じることもあります。クロミ・ライブは後者で、ゲストの近くまで寄るので、パフォーマンスをするエリアの確保や導線の問題もあり、青いラインを引いて“これ以上近寄らないでください”という境界線をつくっています。しかし今回、その線を越えて立入禁止エリアにお子さんたちが入ったということで、もっとわかりやすくするなど、運営方法を見直したほうがいいのかなと考えています」
――子どもに混じって、立入禁止エリアに入ってコンフェを集めていた大人の姿も動画に映っています。
USJ広報「コンフェを集めたいという方がいるわけですが、立ち入り禁止エリアに入ってまで集めるという状況が起こらないように、対策を考えております」
――このような禁止事項に違反するといったゲストに対して、退園を要求するといったペナルティはあるのでしょうか。
USJ広報「かなり危険な行為をするなど安全管理上、見過ごせないようなことがない限りそのようなことはありません」
USJでは、たびたびゲストのマナー違反が話題になる。2022年には、女性インスタグラマーが下着に見えるような過激な露出をして「下着ユニバ」と揶揄され、運営側が「過度な露出はお断り」と異例の呼びかけを行った。また、ユーチューバーがアトラクションから身を乗り出すなどの危険行為を行い、退場させられたことが話題になったこともある。さらに、ロッカーの上に荷物を放置する人が続出したことから昨年9月、ロッカーの上部を三角形に改め、荷物を置けないようにしたことが注目を集めた。
誰もが非日常の楽しい時間を求めて訪れるテーマパークで、マナー違反の客がいると周囲は興ざめしてしまう。自分だけ、少しだけ、といった甘い気持ちでルールを破ることがないように心がけて入場していただきたいかぎりだ。
(文=Business Journal編集部)