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ケンタッキー食べ放題、チキン4個が限界だった…元は取れるが意外な難点も

文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト
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ケンタッキーフライドチキン「オリジナルチキン食べ放題」予約席

 ケンタッキーフライドチキン(KFC)が1月14~24日に期間限定で実施している「オリジナルチキン食べ放題」。全1232店舗(2024年3月31日現在)のうち実施対象は約3割にあたる353店舗で、制限時間は45分。価格は一般は2000円、小学生は980円。「オリジナルチキン」「ポテト」「ビスケット」「ドリンク」も対象だが、SNS上では「3個で胸焼け」「結構つらかった」「元取れるの?」「行って来ました チキン23本」などと、さまざまな感想や食べた個数の報告があがっている。そのコストパフォーマンスはどう評価されるのか。また、なぜKFCはこのようなキャンペーンを展開しているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 全国に1232店舗(2024年3月31日現在)を展開し、フライドチキン専門店チェーンとしては圧倒的な強さを誇るKFCは、専門店だけに主力商品「オリジナルチキン」の品質には強いこだわりを持っている。創業者カーネル・サンダースが1940年につくり上げたという秘伝のレシピは、11種類のハーブとスパイスを配合したもので、一般的な製法であるフライヤー調理とは異なり、圧力鍋で最高温度185℃で約15分かけて揚げるというもの。店舗内で1本1本、手づくりでつくられ、HP上では品質へのこだわりの強さについて次のように説明されている。

「ハーブとスパイスの配合を知っているのは、世界でたったの3人。スパイスは複数の工場で数種類ずつ配合され、店舗に向けて出荷されます。各店舗でそれらをブレンドして初めて、11種類のハーブ&スパイスが完成」

 メニューとしては「オリジナルチキン」1ピースが310円、「チキンフィレバーガー」が440円、「ポテトS」が290円、「ビスケット」が290円、「ナゲット5ピース」が480円、「コールスローS」が290円、「チョコパイ」が290円、「挽きたてリッチコーヒー」が270円、「チキンフィレバーガー」に「ポテト S」とドリンク類(M)が付いた「チキンフィレバーガーセット」が850円。ここ数年は頻繁に複数の商品をセットにして「単品積上げ価格」と比べて低い価格であることをウリとするパック商品を投入している。

45分という制限時間があるため気が焦ってしまう

 そんなKFCは国内に数店舗だけ常時、食べ放題を提供しているところがある。その一つ「KFCレストラン 南町田グランベリーパーク店」(東京)はビュッフェ方式で、カレーやパスタ、サラダ、スイーツなども揃っており、土日祝のディナーは大人が3580円、小学生が1280円、小学生未満は540円、3歳以下は無料。一方、今回の食べ放題は一部の通常店舗で実施しており、多くの消費者が利用しやすいものとなっている。

 45分という制限時間は長くはないが、2000円という価格の元を取れるものなのか。実際に店舗で体験したフードアナリストの重盛高雄氏はいう。

「今回の食べ放題は予約制であり、席には食べ放題の予約席である旨の貼り紙が貼ってあるので、他のお客さんからは自分が食べ放題にトライするということが分かるため、それを恥ずかしいと感じる人は厳しいかもしれません。食べ放題の席がカウンター席という店舗もあります。オリジナルチキンの1ピースは小ぶりにみえるものの、60代男性である私が実際に食べてみると4ピースが限界でした。ほかにビスケットを2個、ポテトを2つ、ドリンクのコーヒーを2杯、飲食しましたが、すべて単品で注文した場合は約2900円なので“元は取れた”とはいえます。ただ、途中で飽きるというよりは『KFCをたくさん食べられた』というかたちで心が満たされてしまい、多くの量を食べたいという気持ちになりませんでした。

 他の席にはモリモリ食べている4人の若者グループや男女2人組もいましたが、そのような大量に食べたい人にとってはお得感は大きいでしょう。ですが、45分という制限時間があるため気が焦ってしまい、ゆったりとした気分で食事を楽しむということはできないですし、一般の人はあまり多くは食べられないでしょうから、食べ放題ではなく通常通り注文したほうがよいのではないかと個人的には感じます」

食べ放題キャンペーンを実施する狙いとは?

 では、KFCがこのようなキャンペーンを実施する狙いはなんなのか。

「KFCはファストフードチェーンとはいえ価格が割高なため“ハレの日使い”される傾向があり、『クリスマスには買うけど、それ以外のときにはあまり利用しない』という消費者も多いです。なので話題性のあるキャンペーンを仕掛けることで、それをきっかけに多くの消費者に店舗に足を運んでもらい『日常でも利用する近い存在』という認識と親しみを持ってもらうという目的があるのではないでしょうか。『KFCのオリジナルチキンはコンビニのフライドチキンより高いけど、美味しいから3回に1回はKFCで買おう』といった行動を誘うことができれば、一定の効果があったといえるでしょう。このほか、KFCが1970年に日本で初となるパイロット店舗を出店したのが大阪万博のアメリカ館であり、今年の大阪万博開催のメモリアルとして行ったという面はあるかもしれません」

(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

重盛高雄/フードアナリスト

重盛高雄/フードアナリスト

ファストフード、外食産業に詳しいフードアナリストとしてニュース番組、雑誌等に出演多数。2017年はThe Economist誌(英国)に日本のファストフードに詳しいフードアナリストとしてインタビューを受ける。他にもBSスカパー「モノクラーベ」にて王将対決、牛丼チェーン対決にご意見番として出演。最近はファストフードを中心にwebニュース媒体において経営・ビジネスの観点からコラムの執筆を行っている。
フードアナリスト・プロモーション株式会社 重盛高雄プロフィール

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