スマホでPCゲームがプレイ可能に…NVIDIAがクラウドでゲーム産業に地殻変動もたらす

●この記事のポイント
・NVIDIAがクラウドゲーミングの常識を覆す大型アップデートを実施。高性能PCがなくても、スマホで“ローカルPC並み”の高画質プレイを実現した。
・新技術「Cinematic Quality Streaming」により、色彩やコントラストが飛躍的に向上。遅延もほぼゼロで、クラウドとは思えない操作感を実現。
・RTX 5080搭載サーバーやレーシングホイール対応など、体験とデバイスの両面で進化。NVIDIAは“ハード依存の時代”を超える新たなゲーム体験を切り拓いた。
ゲーム向けGPU「GeForce」シリーズで知られる半導体企業NVIDIAは、クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」の大型アップデートを発表した。
スマートフォンやタブレットなどデバイスを問わず、これまで以上に快適かつ高精細なプレイが可能となり、クラウドゲーミングの常識を塗り替える内容となっている。
都内で開催されたメディア向け説明会とデモ体験会では、クラウドでありながら“ローカルPC同等”の映像品質とレスポンスを実現する進化を体感できた。
RTX 5080登場で“PC不要時代”が現実に
GeForce NOWは「誰もがすばらしいゲーミング体験を享受できること」を目的に提供されているクラウドゲーミングサービスだ。
ハイスペックなゲーミングPCがなくても、PC・スマートフォン・タブレットなど好きな端末で最新のPCゲームをどこでもプレイできる。ユーザーの端末からNVIDIAのデータセンターにアクセスすると、クラウド上のGPUがゲーム処理と映像生成を行い、その映像をストリーミング配信する仕組みだ。
今回のアップデートは「10年の歴史の中でも最も大きなアップデート」とされるもので、最新クラウドサーバー「GeForce RTX 5080 SuperPod」が導入された。
月額3,580円(税込)の最上位プラン「GeForce NOW Ultimate」会員は、自動的にこのサーバーに切り替わる。
これにより、従来比で最大2.8倍のフレームレート、PlayStation 5の約3倍の演算性能(TFLOPS:1秒間に1兆回の演算能力)を実現。さらにNVIDIA独自のAI技術「DLSS 4(AIによる高精細化技術)」を搭載し、映像の美しさと応答速度の両面で進化を遂げた。
まさに“PC不要時代”を現実のものにしたアップデートといえる。
映像革命「Cinematic Quality Streaming」――ローカル並みの美しさへ
性能だけでなく、画質面の進化も注目に値する。
新技術「Cinematic Quality Streaming」では、従来のYUV 4:2:0方式からYUV 4:4:4(色情報を間引かない高精細方式)へと刷新。さらにAIによる映像補正技術を採用し、ローカルPCとほぼ同等の鮮明さ、色彩表現、コントラストを実現した。
説明会では担当者がこう語った。
「暗いシーンでの色にじみや階調表現の改善を求める声が多く寄せられていました。圧縮方式を刷新し、より広い色域に対応することで、ローカルPCと遜色のないレベルを目指しました」
会場では比較デモも行われ、従来方式と比べてCinematic Quality Streamingでは細部の陰影や発色が明らかに異なるのが確認できた。クラウド経由とは思えないほどのリアリティに、来場者から驚きの声が上がっていた。

大画面でも高精細、テレビ単体でのプレイも可能に
対応デバイスの拡充も大きな進化ポイントだ。
LG製スマートTVではGeForce NOW専用アプリをインストールするだけで、テレビ単体でクラウドゲームを楽しめる。
4K解像度・最大120FPSでの高品質ストリーミングに対応しており、さらにLGの5K・120Hz対応ゲーミングモニターと組み合わせることで、映像の滑らかさと臨場感が際立つ。
実際のデモでは、操作と画面反応の間にほとんどタイムラグを感じなかった。
ボタンを押した瞬間にキャラクターが動き出す――そのレスポンスは、もはやクラウドで動いていることを忘れるほど自然だった。

Steam Deck・Legion Go対応で携帯型デバイスも快適に
持ち運び型デバイスでも最適化が進む。
Valve「Steam Deck」では最大90FPS、Lenovo「Legion Go S」では最大120FPSに対応し、モバイル環境でもカクつきのないプレイが可能になった。
実機で試したところ、動きの滑らかさと安定性が印象的で、ゲーム酔いしやすい人でも安心して長時間プレイできそうだ。

レーシングホイール対応でリアルな走行感覚を再現
さらに注目を集めたのが、新たにレーシングホイール(ハンドル型コントローラー)に対応した点だ。
Logitechの人気モデル「G29」「G920」のホイール・ペダルセットに対応し、クラウド上のレースゲームを実際のハンドル操作で楽しめるようになった。従来、遅延がネックとされていたジャンルだけに、この対応は大きなブレークスルーだ。

「Install-to-Play」で遊べるタイトルが拡大
ゲームライブラリへのアクセス方式も刷新された。
従来の「Ready-to-Play」ではサーバー側にインストール済みのタイトルのみプレイ可能だったが、新機能「Install-to-Play」の導入により、ユーザー自身がクラウド環境に手持ちのゲームをインストールできるようになった。
これにより、GeForce NOWが未対応だったインディー系タイトルなどもプレイ可能に。対応タイトル数は約2,000本から、さらに2,200本以上が追加された。有料会員には100GBのクラウドストレージも提供され、利便性が大幅に向上している。
“ハードからクラウドへ”――ゲーミングの転換点
GeForce NOWの最新アップデートは、クラウドゲーミングの限界を押し広げる内容だった。
スペック面の進化だけでなく、映像品質、操作レスポンス、デバイス対応など、実際に触れて初めてわかるレベルの進歩が随所に感じられる。高性能PCがなくても、誰もが最高品質のゲームを楽しめる――。
今回のアップデートは、ハード依存の時代から“クラウド主導のゲーミング時代”への本格的な転換点といえるだろう。日本でもクラウドゲーミングが本格的に普及する兆しが見え始めている。
(取材・文=福永太郎)
※本稿はPR記事です。





