●企業は顧客とのコミュニケーションを「LINE ビジネスコネクト」に移行する?
一般ユーザーにとってはわかりづらいかもしれないが、企業にとって大注目となっているサービスは「LINE ビジネスコネクト」だ。企業と一般ユーザーをLINEでつなぐサービスで、ユーザーごとに違うメッセージを配信することができる。
LINEの拡張機能のようなものだから、LINEと同じく既読の確認もできる。企業側からユーザーがきちんと情報を読んでくれているかどうかを確認することにも大きな価値があるが、エンドユーザー(消費者)側からも企業の既読確認ができるのは興味深い。例えば、宿等の予約、タクシー配車などでLINEを使った場合に、先方が確実に読んでくれたことが手元でわかるというわけだ。
Twitterの公式アカウントでは、相手の見えない状態で不特定多数の消費者に向けた発信しかできない。特定の客とのやりとりも、フォロワー全員から見えてしまうから、個別に連絡を取ろうと思った時にはDMを使うしかないだろう。個別の客への連絡は、これまでEメールが使われてきたが、強力なスパムフィルタのおかげで企業が一斉配信するメールの大半はユーザーの目に届かなくなっているといわれている。
そうした中「LINE ビジネスコネクト」は、自社のユーザーとして絞り込んだだけでなく、最小1人までターゲットを絞ったマーケティングやコミュニケーションのツールとして活用できるユニークなサービスだ。個別にメッセージを送付し、開封状況を確認できる。企業の持つデータベースと組み合わせて利用できるため、手持ちの資産も有効活用できる。
便利なサービスだけに、今後は企業側からLINEアカウントを登録すると得られる特典なども登場するだろう。LINEユーザーを増やすのに一役買いそうなサービスだ。企業としては運用にコツと労力が必要になりそうだが、積極的に利用していかないと取り残されることになるのは確実だ。特に若年層をターゲットにしたサービスを展開する企業は、いち早く取り入れることが得策だろう。
●さまざまなサービス分野で、LINEがスタンダードとなるか?
LINEは、日本ではすでに若年層を中心に大きなシェアを持っているが、まだ選択的に使うアプリという存在だ。しかし、自分の所属するグループやコミュニティの中で、LINEを使うことが当たり前になってくると、本人の主義主張とは別の問題で使わざるを得なくなることがある。実際、すでに学校のPTAや子どもの習い事関連の連絡のために導入しなければならなくなった、という人も出てきている。
さまざまなサービスによって、そうした流れが加速し、数年のうちにも「LINEをやっているのは常識」というレベルまで到達するかもしれない。昔、携帯電話を持ち歩くことを嫌がっていた人も、必要がないと拒んでいた人も、今は大多数が持っている。同じようにLINEについても、今は「はやっているからといって飛びつく必要はない」「情報漏洩などが心配だから使わない」と言っている人たちも、使わないわけにもいかないという時代が来るのかもしれない。
(文=エースラッシュ)