9月4日に、ライフメディアのリサーチバンクが発表したLINEに関する調査結果では、スマホユーザーの6割強が利用しているという。同調査を見ると、10代、20代女性の8割以上が利用していることがわかる。
実際のアクティブな利用者数はさておき、認知度は98%と極めて高い。2011年6月に開始したLINEは当初、スマホ内の電話帳情報を企業に読み取られることに不安の声を上げている人も見られたが、電話帳を公開しなくても利用できる設定が広く知れ渡り、多くの場合は自分なりの使い方に落ち着いたようだ。
ビジネスで使っているという例はあまり多くなさそうだが、仕事で知り合った関係でも、親しくなればLINEで連絡を取るようになることもある。これが趣味の仲間や学校でつながった関係だと、LINEのグループトークを使って連絡を取り合っていることも多く、まったく利用しないというのは難しいようだ。子供たちの部活動の連絡や、親のPTA活動での連絡にも使われているという。
そうした中、子供たちとLINEの関係で問題が目立ってきている。高校生の6割前後がスマホを持つという調査報告もあり、今や小学生が持っている例も珍しくない。ガラケー(フィーチャーフォン)の新機種がほとんど発売されないのだから、塾やスポーツ活動の関係上、なんらかの連絡ツールを持たせようとした時に、スマホを買い与えることになるのも仕方のないことだろう。
問題は、彼らがLINEの便利さを享受するとともに、ストレスも受けているという状態だ。そのキーワードとなるのが「KS」だ。
●読んだか読まないかが一目瞭然であるストレス
「KS」とは「既読スルー」という意味だ。スルーでなぜSなのか、という話はさておき、そうした行動に特定の名前がつくあたり、問題視されているのは確かなようだ。
スマホにLINEを入れていると、メッセージが届くとポップアップで知らせてくれる。そこからLINEを起動してメッセージ画面を開くと、送信した側に既読であることが通知される。そして返事をしないでいると「あの人は、メッセージを読んだのに返事をしない」となるわけだ。この状態を「KS」という。
大人の感覚からすれば、内容的に即座に返事が必要なものでなければ「忙しいのかな?」「返事をし忘れているのかな?」と相手の状況を考えたり「あの人は無精だから、そのうち電話で確認をとろう」と切り替えたりするところだ。もしくは、単なる連絡事項であれば「既読=相手に伝わった」と判断し、それ以上は求めないことも多い。しかし子供たちは違う。
仲間とはLINEでつながっていて当たり前、LINEのIDしか知らない友人もいるという状態では、「KS」は強い否定の意味合いを持つこともある。結果、イジメや重大事件につながった例もある。特に有名なのは、10月に広島で起こった高校生同士の殺人未遂事件だろう。
既読であることがわかっているのに返事が来ないストレス。既読であると相手に知られている上で、素早くうまい返事をしなければならないストレス。顔を合わせていない状態でも、空気を読み続けなければならない状態がストレスを生み出している。
●「KS」組はグループから外されていく現実
実際にLINEを使っている子供たちは「KS」問題についてどう感じているのだろうか。今回、その実態を探るべく、中学生~大学生にアンケートを実施した。
中学生の場合「クラスのほとんどがスマホを持っている」(中1女子)、「ガラケーを持っている人は、あまりいない」(中1男子)という状態で、LINEを使う環境は整っているようだ。実際に「仲間内で連絡を取り合う手段としてはLINEがほとんど」(中2男子)とも語っている。もちろん全員が使っているわけではなく「自分の周りは使っていないが、クラス内では使っている人たちもいる」(中1女子)という状態のようだ。