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BABYMETAL戦略に学ぶ、産業の成長戦略 「Kawaii×技術力」のすり合わせ
BABYMETALは、この「Kawaii × 技術力」のメインモデルのほかにもうひとつ、サブテキストともいえる貴重なヒントを提供している。
高い技術力でBABYMETALの世界進出を支えたミュージシャンたちは、普段は自分たちのユニットで、レベルの高い固定客を対象に自分の一番やりたいヘビーメタルの王道に取り組んでいる。それは、たとえ商業的な成功に至らなくとも、高いモチベーションを持って技術と感性を磨く場となっている。
振り返ると、Perfumeときゃりーぱみゅぱみゅの世界的ヒットをもたらした、音楽プロデューサー・中田ヤスタカ氏は、カプセルという自分の音楽ユニットで、先進的な音楽を自由に展開している。中田氏にとってカプセルは、商業的な大成功に至らなくとも、高いモチベーションを維持して技術と感性を磨く場になっている。
日本のものつくりの現場においても、昔から「闇研(闇の研究)」といわれ、業務ラインから指示を受けていない研究を自発的に行う、よき風習があった。デジタルカメラや青色LEDなど、この闇研から特許が生まれ、ヒット商品が輩出された例も数多くある。
これからの日本のビジネスパーソンは、趣味とも仕事とも言いがたい領域でモチベーションを高く保ち、自分の技術と感性を磨き、必要に応じて商業的成功を狙う仕事にも活かしていくようになるのかもしれない。
これまでエンジニアが闇研でそういう場を得てきたのなら、これからの事務系のビジネスパーソンは私的にインターネット上で発信をすることにより、高いモチベーションを維持しながら感性を磨くことができるのだろう。それがまた、商業的成功につながり、日本の成長を産みだすことだろう。
(文=小林敬幸/『ビジネスをつくる仕事』著者)
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