不振イオン、打開策・規模拡大戦略の成算は?スーパー業界、「価格重視」からの転換点か
国内小売業最大手イオンが深刻な不振に陥っています。
10月に発表された2014年3-8月期(上期)の決算において、連結売上高に関しては新規出店やダイエーの連結化により3兆4315億円と15.1%増えたものの、営業利益は41.2%減の433億円、当期利益に至っては91.4%減の20億円と、ぎりぎりで最終黒字を確保したことが明らかになったのです。深刻なのはGMS(総合スーパー)事業であり、半期で営業赤字が131億円に達するなど、浮上の兆しさえ見えない状況です。
赤字の原因としては、4月の消費増税で多くの消費者が買い控えに走ったことや、天候不順による消費意欲の減退、円安による原材料費やガソリン価格の高騰などのコスト高、競争面から見ればライバル企業の出店加速など、競争が激化したことなどが挙げられます。
このような厳しい決算に終わった理由について岡田元也社長は「消費増税後の戦い方が、相対的に不十分だった。競争激化に対して現場の反応が遅かったり、対応を実現するだけの能力が本部に不足していた」と分析。もちろん、イオンも消費増税に対して事前の対策は十分に練っていたと思われますが、消費者の反応は予想以上に冷え込み、シナリオ通りに事が運ばなかったというわけです。
ただ、イオンは予想を大きく下回る上期の業績にもかかわらず、通期の業績予想は据え置きました。つまり、下期は急速な回復を見込んでおり、価格政策の強化で顧客を呼び戻し、経費のコントロールでコスト削減を図り、通期目標を必達していく覚悟なのです。
●規模の拡大で窮地脱出を図る
この業績不振から脱却するために、イオンは規模の拡大を急いでいます。9月24日には、傘下のダイエーを2015年1月をメドに完全子会社化することを発表。これでかつて小売業界で隆盛を極めたダイエーは完全にイオンに吸収され、「名門ダイエー」の名前が総合スーパー業界から消えることになりました。また、10月22日にはグループのドラッグストア4社を統合する方向で最終調整に入ったことが明らかになりました。東証1部上場のウエルシアホールディングスを中心に残りのグループ3社が加われば、売り上げ規模は5000億円を超え、マツモトキヨシホールディングスを抜いて一躍業界首位に躍り出ることになります。