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「もはや日本生命は相手ではない」第一生命、日生を大きく引き離し業界首位盤石か

文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト
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 2月6日付読売新聞は、日本生命保険とりそなホールディングスの資本業務提携を報じた。売上高に相当する保険料収入で、戦後初めて第一生命保険に抜かれた日本生命の巻き返し策を解説している。その差がわずかだけに今後の競り合いが予想される一方、 第一生命関係者からは「もはや日本生命は相手ではない」との声も聞こえてくる。

 アベノミクスによる円安株高でなぎ状態にある金融業界で昨秋、耳目を集めたのが、生命保険業界の首位逆転劇だった。4~9月期の保険料収入は第一生命が前年同期比22%増の2兆5869億円、日本生命は4%増の2兆4682億円にとどまった。第一生命が日本生命を上回り、半期ベースで初めて首位になった。

 逆転の原動力となったのが、金融機関を通じての保険販売(窓販)。第一生命は外貨建ての個人年金保険を金融機関で売りまくった。メガバンク幹部が語る。

「銀行にとっては、窓販ほどボロい商売はない。高額預貯金者に、眠らせている銀行の預貯金を『保険のほうが利回りが高い』といって提案するだけ。自社ではほとんどリスクを取らずに手数料が入る」

 第一生命が窓販で約1兆円を荒稼ぎしたのに対して、日本生命は2200億円程度と差は歴然だ。

 日本生命は巻き返しのために窓販の強化を掲げており、窓販部門の分社化や他社の事業買収も視野に入れている。りそなへの出資もその一環で、公的資金返済後の財務安定化を狙うりそなと、窓販強化につなげたい日本生命の思惑が一致した格好だ。

 だが、読売報道で触れられていないが、実はすでにりそなに出資している第一生命は、日本生命よりも多くの株を追加で取得する可能性が高いのだ。第一生命はりそなの筆頭株主に躍り出るとの見方が支配的で、日本生命がりそなを通じて窓販を強化したところで、資本の論理を考えれば第一生命との差が詰まるとは考えづらい。日本生命は業界他社の事業買収も模索しているが、窓販のテコ入れに必死なために交渉で足元を見られている状態で、追撃態勢を整えるには時間がかかりそうなのが実情だ。

日生との差は決定的になる可能性も

 加えて、第一生命は北米で買収したプロテクティブ生命の保険料収入が、4000億円規模で15年度決算から上乗せされる。14年度通期では業界首位をめぐって両社の競り合いが予想されるものの、15年度以降は第一生命が首位の座を盤石にする可能性が高まっている。日本生命も事業買収を検討しているが、リスクの高さから二の足を踏んでいる。

 競合他社の幹部は語る。

「第一生命にとって北米事業は賭けでもある。日本の金融機関が、最大のマーケットである北米市場で成功した事例はない。競争の厳しさに加え、一癖も二癖もある米国人の経営陣をうまく使いこなすのは至難の業。日本生命のほか、明治安田生命も北米での事業買収を検討しているが、踏み出せずにいる。第一にとっては試金石だが、軌道に乗せられれば、日生との差は決定的になる」

 第一生命はアジア、日本、北米の3極体制を打ち出し、世界展開を急拡大しており、「業績のベンチマークを、世界最大級の独アリアンツや仏アクサなどの海外企業に置いている」(アナリスト)。株式会社形態のために相互会社が大半の日本企業と比較できないというのが名目だが、もはや海外企業へ追いつけ追い越せというのが本音だろう。

 追う立場から追われる立場になった第一生命。業界の新たな盟主を名乗る日が、はたして来るのか。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)

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