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新将命「ビジネスの原理原則」

大塚家具、不協和音は続く 信頼関係の欠如と傲慢、失敗する企業の典型例

文=新将命/国際ビジネスブレイン代表取締役社長
大塚家具、不協和音は続く 信頼関係の欠如と傲慢、失敗する企業の典型例の画像1大塚家具ショールーム(「Wikipedia」より/Itasan)

「成功している会社はなぜ成功しているのか。成功するようにやっているからだ。失敗している会社はなぜ失敗しているのか。失敗するようにやっているからだ」

 パナソニック創業者、故松下幸之助氏の言葉である。いわゆる勝ち組と負け組には共通的な特徴があるということだ。50年にも及ぶ筆者の経営経験に基づいた見立てでは、成功組、失敗組にはそれぞれ「ABC」があるようだ。

 ダメな会社のABCは、Arrogance(経営者の傲慢)、Bureaucracy(お役所主義)、Complacency(安易な現状是認・危機意識の欠如)の3つ。一方、勝ち残る会社のABCは、Action(行動力)、Belief(企業の理念や信条・社員間の信頼)、Change(変化に対する対応力)の3点セットである。

 Arroganceとは、経営者が成功を収めた時に生じがちである。「この考え方とやり方で今までやってきた。会社は伸びている、うまくいっている」という自信が生まれる。自信はとかく慢心になる。慢心が高じると傲慢になり、人の意見に耳を貸さなくなる。結果として会社を滅ぼす。

 Bureaucracyの特徴は、前例主義であり、ことなかれ主義である。実質よりも形式が重んじられ、無謬症候群が蔓延する。

 Complacencyとは、「まあええやんか」という、いわれのない自己満足である。「外部環境が良くなれば、そのうち我が社の業績も良くなるだろう」という甘えであり、ひとりよがりである。危機意識の欠如が会社をダメにする。

●成功する企業のABC

 一方、成功する企業のAction とは、文字通り物事を実行に移すことができる行動力のことである。「Analysis Paralysis(分析ばかりで麻痺状態)」という言葉がある。どんなに優れた計画があったとしても、行動に移さなければ何ひとつ変わらない。望ましい結果には結びつかない。

 Beliefには2つの意味がある。ひとつは企業理念や信条があるということ。もう一つは、経営陣をはじめとする社員の間に信頼関係がある、ということである。企業理念は判断や決断をする際の求心力としての効果を発揮する。

 Changeとは、変化に対する迅速な対応力である。「生き残るのは最も強い者でも、最も賢い者でもない。変化に最も迅速に対応する者である」とは生物学者チャールス・ダーウィンの言葉である。経営環境が変わる中では、自社も変わらなければ生き残ることはできない。

新将命

新将命

株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなど、グローバル・エクセレント・カンパニー6 社で社長職を3 社、副社長職を1 社経験。2003 年から2011 年3 月まで住友商事のアドバイザリー・ボード・メンバーを務める。「経営のプロフェッショナル」として50 年以上にわたり、日本、ヨーロッパ、アメリカの企業の第一線に携わり、今もなお、さまざまな会社のアドバイザーや経営者のメンターを務めながら長年の経験と実績をベースに、講演や企業幹部研修、執筆活動を通じて国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。

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