15年ぶりに日経平均株価が2万円に達した東京株式市場。しかし、その上昇相場に、香港やシンガポールのヘッジファンドは乗ることができなかった。悔しさを晴らそうと、“アジアの虎”とも呼ばれる香港のヘッジファンドは、ある銘柄に的を絞った。それは、銀行、証券、保険のメインストリームにはないニッチな市場を狙った「金融ベンチャー3銃士」である。
FPG
1社目はFPG(証券コード7148)。「タックス・リース・アレンジメント」という耳慣れないビジネスを展開する金融ベンチャー。設立は2001年11月で、上場は10年9月だ。
同社は当初、船や航空機のリースを主に扱っていたが、節税効果の高いタックス・リースに進出したことで業績が急伸した。タックス・リースとは「資産の繰り延べ効果を利用して節税を行うリース」のこと。14年9月期のタックス・リースの売上高は54億円だったが、15年第1四半期だけで40億円に達した。タックス・リースの年間予想は95億円だが、すでに進捗率は40%を超えたわけだ。
株価も1月は1400円程度だったが、2月中旬には2800円、3月には3800円まで急騰した。3月末に株式を3分割した後も順調で、時価総額は1300億円超に膨らんだ。ただ、ある外資系証券によれば「株価収益率(PER)が28倍と高く、法改正リスクがある」ことが懸念材料だそうだ。
アニコムホールディングス
2社目はアニコムホールディングス(コード8715)。ペット保険の草分け的存在である。設立は00年7月で、上場は10年3月。この第3四半期の経常収益は165億円で前年同期比22%増、経常利益は10億円で同2.5倍と急拡大している。ペットショップからの新規契約が伸び、インターネットを通じたペット保険の申し込みも増加し、業績を牽引している。
1月中旬に1300円前後だった同社の株価は、2月には1700円を超え、4月には2500円になった。株価収益率は52倍と高いが、香港ファンドは「時価総額は430億円とFPGの3割程度であり、成長余力がある」と見ており、さらに「最後は大手損害保険会社に買収してほしい」と期待を寄せる。