消費マインドは上向きに
景気動向を予測するには、「今後、人々がお金を使いそうかどうか」を調べればいい。インターネット調査会社・マクロミルの定点観測調査データ「MACROMILL WEEKLY INDEX」の中から「消費予想」を見てみよう。4月第3週時点で、今後1カ月の個人消費量が前年より4.9ポイント増加すると予想されている。
昨年の4月は消費税の増税があったため、消費マインドは大きく落ち込んだが、今年は一転して大きく上向いているようだ。自動車業界のベースアップが過去最高水準となるなど、景気のいいニュースが消費マインドを後押ししているのかもしれない。インテリア業界には追い風が吹いているといえるだろう。
大塚家具の久美子社長は、再任された株主総会直後の会見で「お客さまにお詫びと感謝を込めてセール企画を検討したいと思います。ご期待ください」と述べた。壮大な“炎上商法”だったのかと思わせるほどの商売人魂であり、筆者もつくづく感心した。
今回の“親子げんか”は、連日のようにテレビや新聞を賑わせたが、大塚家具にしてみれば無料で大宣伝ができたようなものである。そういう筆者も今回の記事で大塚家具を取り上げているわけで、まんまと術中にはまっているのかもしれない。
実際、宣伝効果は10億円をくだらないといわれており、その効果で今年度は売り上げが170億円以上増えるという試算まである。今月18日に全国16店舗で始めた「お詫びセール」では、初日だけで1万257人が来店し、社長の名前「久美子」から企画した93万5000円の高級寝具セットも初日に完売するほどの大盛況だった。
当日、久美子社長はテレビ局の取材に喜んで対応していたが、ラジオ局の取材は一切断ったという。宣伝効果が大きいメディアを選別していることからも、久美子社長がこの「お詫びセール」をPRの手段として上手に利用していることがわかる。
この波に乗って、大塚家具が再生できるかどうか。久美子社長の手腕が、今まさに試されている。
(文=鈴木領一/ビジネス・プロデューサー)